2021年01月29日公開
2021年02月05日更新
Uナットの外し方やゆるみ止め機能について解説!
業界や設備にかかわらず、ナットでの締結に対する緩み止めは必要不可欠です。Uナットは、ナットに「メタルリング緩み止め機能」という機能を取付けた緩み止めナットの一種です。今回はこのUナットの取付け方や取り外し方などについて解説していきます。
Uナットとは
Uナットとは、大阪に本社を持つ株式会社冨士精密が国内外での特許及び商標権を持つ緩み止めナットの一種です。
緩み止め性能が非常に高く、全て金属製のため、高温での環境や薬液の影響がある場所などにも使用可能です。
形状は六角ナットと同様で、通常の工具のみで締め付けが可能です。割りピンやボルトへの追加工などは必要なく、一つのボルトで一箇所の締め付けが完了します。外し方も通常の六角ナットと同じく、工具を使って緩ませた後に手で取り外すことができます。
Uナットの特徴
Uナットの最大の特徴は、「メタルリングゆるみ止め機能」と呼ばれる機能です。これにより高い緩み止めの効果を発揮します。NAS式高速ねじゆるみ試験機(米国航空機規格NAS3350)によるボルト軸直角方向の衝撃を与える軸直角振動衝撃試験においても緩みや脱落が発生せず、特に振動が掛かり緩みが許されない場所に採用されています。
また多彩な形状や規格、材質がありオーダーもできるため、設計者の意図した場所に意図した緩み止め効果を出すことができます。
同社が製造・販売も手掛けており、世界23カ国の20の業界で採用されていることからもお分かりのように、世界の様々な場所で幅広く利用されています。
種類も多く、顧客よりの特注品も含めると、新規の設計開発製品が82製品にのぼります。緩み止めナットとしては国内でナンバーワンのシェアを持ち、海外でも広く採用されています。
Uナットの用途
Uナットは主に自動車や特殊車両の基礎構造部分やエンジン、トラックの荷台止め金具やバイクの車軸取付部やブレーキ部などに使われています。トラクターや自動種まき機、田植え機といった農業機械や杭打ち機といった特殊な動作を伴う自動車にも使用されています。
またプラントや加工機の回転部や形鋼加工機のベルト部分や送風機、シリンダやバルブといった工業機械にも使われています。またビルのカーテンウォール、グレーチングの止め部や遮音壁、歩道橋といった建築土木関連分野にも採用されています。
Uナットの規格
Uナットには現在、7つの規格があります。
- U-NUT
- GU-NUT
- CLIP U-NUT
- BLU-NUT
- SU-NUT
- 座金付U-NUT
- フランジ付U-NUT SUS
それぞれの規格で形状や材質は異なりますが、最も種類の多いU-NUTで形状はM3~M115まであり、材質はSS400又は相当品、S45C調質又は相当品、SCM435(調質)、SUS304又は相当品、チタン、SUS316L、黄銅(BSBM)があります。
表面処理も多種に渡り、酸化クロメート処理やユニクロメッキ、溶融亜鉛メッキや溶融アルミニウムメッキや黒染めなどに対応しています。また1種、2種、3種ネジや小型ネジ、ユニファイねじやウイットねじ仕様、キャップ付きやフランジ付きなど形状も様々です。
他にもベアリングナット形状のものやボルト形状のものなど多くの種類があり、個別に顧客対応も可能です。
Uナットの使用方法
Uナットの使用方法は、基本的には通常の六角ナットと同じく最初は手でねじ込んでいき、フリクションリングがボルトに接した時点で通常の工具での締め付けに切り替えます。
通常の場合、締め付けトルクはメーカー参考値で問題ありませんが、過酷な環境や条件、低トルクで締め付ける場合には、予めメーカーと協議されることをお勧めします。
Uナットの原理、構造
Uナットはナット本体の上部に取付けられた「フリクションリング」と呼ばれる特殊な薄板に最も大きな特徴があります。
ナット上部に取り付けられた2枚から3枚の羽がボルトに接地すると、バネの要領で発生した応力とボルトとナットが本来持つ引っ張り合う反力が相互に作用して摩擦トルク(リベリングトルク)が働き、双方向からボルトに食いつくように締め込むことで緩み止め効果を発揮します。
Uナットを使用するメリット
Uナットを使用する最大のメリットは高い緩み止め効果ですが、それに加えて5つのメリットがあります。
- Uナットは取り付けが簡単で、一般的な工具で通常の六角ナットを締め付ける要領で取り付けることができます。ナット自体の高さも六角ナットとさほど変わらず、省スペースで高い緩み止め効果を発揮します。
- フリクションリングやナット自体に変形が見られなければ再使用が可能です。
- 金属製なので熱に強く、材質を選ぶことによって250℃~300℃といった高温下での使用にも耐えます。
- 使用の途中で軸力が低下してもフリクションリングの効果で、早期の脱落を防ぐことができます。
- 形状や規格も多種多様で、さまざまなニーズに応えることができます。またオーダー作成も可能です。
Uナットを使用するデメリット
高い緩み止め効果を発揮するUナットですが、使用に際して何点かデメリットがあります。
- Uナットはボルトとの高い摩擦トルク(緩み止め効果)を得るために、必ずねじ精度JIS 6g(2級)のボルトを使用する必要があります。
- フリクションリング部を傷つけないために、ボルトの先端は面取り加工が必要です。
- 十分な緩み止め効果を発揮するために、取り付け時にボルトのねじ山をふた山以上出さなければなりません。
- フリクションリング側からは締め込むことができませんので、施工時に裏表を確認する必要があります。
- フリクションリングの損傷防止のために高速回転のインパクトレンチは使用できません。
Uナットの使用上の注意点
ボルト部に穴加工やキー溝加工等がされている場合や、薬液に接する場所、高温高圧下などの過酷な条件下や低軸力で使用する場合は、事前にメーカーへの確認が必要です。
また、再使用目的で取り外す際には、フリクションリングが破損しないように注意が必要です。再使用の際は破損や極端な変形などがないことを確認してください。フリクションリングに異常がある場合は緩み止め効果が得られませんので、交換をお勧めします。
取り外し方は通常の六角ナットと同じく一般の工具が使用できますが、ボルトとの密着力が強いため、最初はナットを損傷させにくい工具(メガネレンチ、ボックスレンチなど)を使用して緩めることをお勧めします。一旦緩めば通常通りに外すことができます。
例外的に、緩み止めが必要な場所でも、足場の組立てなど頻繁に取り外しが必要な物には向きません。一度組立てたらメンテナンスまで外さない、といった箇所に使用することで、長い期間に渡り性能が維持できます。
ねじのことなら、新潟県内に本社があり豊富な種類のねじに対応している「ツルタボルト株式会社」がおすすめです。
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また、ボルト・ねじ類から機械・工具まで常時30,000点の在庫数で最適な製品を提案してくれます。今後はボルト・ナットを超えて、締結用品全般・締結を補助する工具などの情報・知識の提供などを顧客に提供していきます。
ねじでお困りの際は、一度ツルタボルトへ相談してみると良いでしょう。
まとめ
Uナットは日本国内で最も使用されている緩み止めナットです。種類が多彩でボルトへの追加工などは必要なく、省スペース化が図れるため様々な場所で使用が可能です。強い緩み止めが必要な場合には、使用を検討することをお勧めします。