2020年11月30日公開
2020年12月01日更新
寸切りボルト(長ねじ)とは?特徴/規格/用途
寸切りボルト(長ねじ)とはどのようなモノでしょうか?寸切りボルトの特徴やその規格、用途について解説します。また、寸切りボルトの具体的な使用例や使用上の注意点などについても解説します。そのほか、ダブルナットを利用しての締め付けについても解説していきます。

寸切りボルト(長ねじ)とは
寸切り(すんぎり、ずんぎり)ボルトとは、頭部がなく全体がねじ部になっている
ねじのことです。
現場で必要な長さに切断して使用したり、両側からナットで締めて長さを調節したりする
場合などに使われます。
太いものは建築材料として使われることが多く、細いものは工作などでも利用されます。
「長ねじ」・「全ねじ」などとも呼ばれます。
寸切りボルトの特徴
頭部あるボルトは製造の初期の段階で頭の部分を作ります。このため、長いねじ部を
作る事ができませんが、頭部を加工しない寸切りボルトは、長いもので数メートル近くの
製品が存在します。
また、全体にねじ切りしてありますので、現場などで任意で切断したものを長ナット
(高ナット)で定尺ものと連結させて、必要な長さの寸切りボルトをその場で製作することも可能です。
寸切りボルトの規格
寸切りボルトは一般的に定尺が285mm、メーター寸切りボルトは1000mmです。もっと長いものや中途半端な長さのものが必要な場合は、メーカーに相談すれば個別オーダー可能です。(例・1500mm・780mmなど)
寸切りボルトはメートルねじの規格では一般的にM3~M64まであり、ウィットねじの場合はW1/4・W5/16・W3/8・W1/2・W5/8・W3/4・W7/8・1’・1'1/8・1'1/4などがあります。
一般的な材質はステンレスか鉄で、鉄の場合はユニクロメッキされているものが多く使われています。
主な材質
- 鉄(SS400,S35C、S45Cなど)
- ステンレス(SUS304、316Lなど)
- ポリカーボネート
- 黄銅
- クロムモリブデン
- チタン など
主な表面処理
- 生地
- ユニクロメッキ
- 三価クロム処理
- クロメート処理
- 黒染め など
寸切りボルトの用途
- 使用するネジの長さが直前にならないと決定できない場合
- 機器類などを設置した後でないと施行箇所が決定できない場合
- 長いねじ部が必要な場合
- 両側をナットで締め付けた方が良い場合
- 設計上、頭部がない方が都合の良い場合
寸切りボルトが使われているもの
- 太い寸切りボルトは主に建築材料として使用されています。
- 細い寸切りボルトは工具や工作などにも使用されています。
寸切りボルトの具体的な使用例
主に建築資材として使用され、天井、配線ラック、エアコンなどの吊り下げや、コンクリート内にあらかじめ埋め込んでおいたり、機器類を設置した後に固定するアンカーボルトなどの幅広い用途があります。
また、軽工作品や設備機器関連、締め付けねじ、取り付けねじ、工具などに使用されます。
寸切りボルト使用の注意点
1.必要な長さに切断できることが寸切りボルトの特徴ですが、現場などで切断砥石(グラインダーなど)で切断してしまうと、切断面のネジ山がつぶれてナットが入りにくくなりますので注意が必要です。
このような場合は、切断砥石で切断面の縁を面取り(丸め処理)するか、「全ねじカッター」と呼ばれる専用工具で切断しましょう。また、先にナットを寸切りボルトに通してから切断する方法もあります。
2.メッキなどの表面処理を施している寸切りボルトを切断すると、当然のことですが切断面には表面処理がなされていませんので錆びやすくなります。
この様な場合は、施工後に塗装を施すか、切断面をキャップなどで保護することによって錆びの発生を軽減することができます。
3.締め付けに使用する頭部がない寸切りボルトをカットアンカー(内部コーン打ち込み式アンカー)などへねじ込む場合に、パイプレンチやペンチなどを使用するとねじ山をつぶし、表面処理をはがしてしまいます。
このような場合にはダブルナットを利用する方法が手軽で効果的です。以下にダブルナットを利用した締め付け手順を解説します。
ダブルナットを利用した締付け
寸切りボルトに同じネジ規格のナットを2個取付け、ナットが取りついている方を
上にしたとき(寸切りボルトを垂直方向に向けたとき)に、上になる方のナットは締まる方向へ、下になる方のナットは緩める方向へスパナやレンチなどで回してください。
すると上下のナットがかみ合い、このナットが締め付けに使用できる頭部の代わりになり、
カットアンカーなどへ寸切りボルトをしっかりねじ込むことができます。
また場合によっては寸切りボルトをねじ込んだ後に、この頭部代わりに使用したナットを
一旦緩めて、カットアンカーなどにねじ込んだ寸切りボルトが緩まないためのダブルナットとして締め付けて、役目を変えることもあります。
注意点としては、締め付けの際には、締まる方向へ回したナットだけをスパナやレンチで
回さないとダブルナットが緩み、充分な締め付け力を得られないばかりか、作業中に思わぬケガをする危険性があります。
薄手のスパナやレンチなどがあれば安全かつ確実な作業が可能になります。
また、先に少し触れました長ナット(高ナット)を利用して寸切りボルトを連結させる際にも、この方法を利用します。
まずは長ナットの双方から、通常のナットを取り付けた寸切りボルトを充分な深さ
(双方の寸切りボルトが長ナットの中央付近で接触する程度)まで手でねじ込みます。
次にあらかじめ取り付けておいたナットと長ナットを前述の要領でかみ合わせると、
寸切りボルトが緩むことなく連結が可能となります。
まとめ
この記事では、寸切りボルトの特徴や規格、用途などについて解説しました。
寸切りボルト(長ねじ)は、「材質」・「表面処理」・「ねじの種類」・「ねじ部の呼び径」
「ねじ部の長さ」で表現します。
例)【ステンレス生地寸切りボルトM8x200】の場合、材質「ステンレス」、
表面処理「無し(生地)」、「寸切りボルト(長ねじ)」のねじ部呼び径(ねじの直径)「M8」長さ(図面上Lの長さ)「200mm」となります。
また、ダブルナットを利用した締め付け方法もマスターしましょう!
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ねじでお困りの際は、一度ツルタボルトへ相談してみると良いでしょう。