2020年10月27日公開
2020年10月27日更新
十字ねじ頭部形状寸法とは?十字穴付きなべ小ねじなど紹介
十字ねじの特徴や種類・頭部形状寸法とは?一般的に使われているのはどのようなねじか?十字付きナベ小ねじ、十字バインド小ねじ、十字皿小ねじ、十字トラスト小ねじなどの特徴・頭部分の違いや使用例を紹介します。また、十字ねじを締めるときの注意点なども解説します。

十字ねじとは
十字ねじ(ネジ)とは、一般的にプラスドライバーで締め付けるねじのことをいいます。
十字ねじは、主に別個の部材を取り付ける、組み合わせるなどの結合部分に使用します。
英語ではCross Screw(クロススクリュー)といいます。
「ねじ」とは、螺旋(らせん)状の溝が切ってあり、その溝に噛み合わせて回転させることで「移動させる」メカニズムのことをいいます。
「ねじ」は以下に分類されます。
- 外側(側面)に螺旋(らせん)状の溝が入った雄ねじ(オスねじ・おねじ)
- 内側(内面)に螺旋(らせん)状の溝が入った雌ねじ(メスねじ・めねじ)
雌ねじはナットが代表的なもので、ボルトなどと組み合わせて使います。住宅や家具などではナットを使わない木ねじを使うことが多いです。
また、「ねじ」のことを「ビス」と呼ぶ場合もあります。サイズ比較的に小さいものを「ビス」または「小ねじ」と呼ぶことがあります。
十字ねじの特徴
十字ねじは、非常に身近な場面で目にすることができ、家電製品をはじめ、家具や建築関係・DIYなど様々な用途で使われています。歴史が古く、サイズも豊富で、ホームセンターなどでも様々な十字ねじを入手できます。
ドライバー1本で簡単に締め付けできることも特徴のひとつです。
十字穴付きなべ小ねじなどの種類
一般的によく使われるのは、「皿小ねじ(さらこねじ)」や「ナベ小ねじ」でしょう。その他には、「バインド小ネジ」や「トラス小ネジ」などもあります。
ねじそのものは規格が決まっているので違いはありませんが、ねじ頭部分形状の違いによって、「皿小ねじ」「ナベ小ねじ」などと呼ばれます。
その他のねじでは「タッピングネジ」や「木ネジ」などもあります。これらは、木工家具や建築・車両・電機部品などに使われます。
「タッピングネジ」は、ネジ自身でねじ立てできるネジで、鉄板などを留める場合に用いることが多いものです。頭部の形状はナベ、皿、トラス、丸皿、バインドなどがあります。
「木ネジ」は、木材にねじ込むのに適した先端とネジ山を持つネジで、頭の形状は丸、皿、丸皿などがあります。
十字ねじの頭部形状寸法
十字ねじの頭部形状の寸法はJIS/ISO規格により定義されています。
十字ねじの頭部の直径寸法を比較すると、M3ねじの例では以下となります。
- なべねじ 5.5mm
- 皿ねじ 6.0mm
- バインドねじ 6.3mm
- トラスねじ 6.9mm
このようにJIS/ISO規格では定義されており、十字ねじ頭部の直径が小さいものは「なべねじ」です。
十字ねじなべ頭
十字穴付ナベ小ねじのことを英語ではcross recessed pan head screwといいます。
ナベ小ねじは一般的に多く使われている小ねじで、ねじの頭の部分が鍋をひっくり返したような形状をしていることが特徴です。
基本的には十字のプラスドライバーで締め付ける十字穴(+)タイプが多いのですが、プラスドライバーでもマイナスドライバーでも締め付けができるスリワリの入ったものもあります。ナベ小ねじは、皿小ねじと比較するとドライバーにしっかりかみあうので強く締め付けることができます。
使用範囲が広く身近な製品にも多く使われており、比較的安価で入手性が良いねじといえます。身近なものではテレビや冷蔵庫の裏側など、多少ねじの頭部分が出っ張っても問題なさそうなところで見ることができます。
又、家電に限らず多くの工業製品の内部にはたくさんの十字ナベ小ねじが使われています。基本的には外装面よりも内部に多く使われているねじです。
小ねじという呼び名は、呼び径が8mmくらいまでを指し、特に小さな部品取り付けに使われています。材質はステンレスか鉄で、鉄の場合はニッケルか三価ホワイトの表面処理が一般的です。
十字ねじバインド頭
バインド頭小ねじのことを英語ではbinding head (machine) screwといいます。
バインド小ねじは、なべ小ねじと比較して少しだけ頭部の直径が大きく、頭が台形で、上面に丸みがつけられています。同じ呼び径のなべ小ねじに比べて、1.1~1.2倍程度頭の径が大きくなっています。
頭の部分の直径がナベ小ねじより大きいので、材料に対して接地面を大きくすることができ、座面の陥没を防ぐ効果があります。
電線などを締め付けるのに便利なように、座面にくぼみがあるものもあります。なべとトラスの中間サイズの形状なので、トラスでは頭部の径が大きすぎる場合に使われることもあります。
なべと同様、幅広く使うことができる小ねじで、見た目を考慮して使う場合もあります。身近な例では、コンセントプラグの中の電線を締め付けるのにもこのバインド小ねじが使われています。
また、インクジェットプリンターの裏をのぞいてみたら、本体のケース固定にバインド小ねじが使われていました。
十字ねじ皿頭
十字穴付き皿小ねじのことを英語ではcross recessed flat head screwといいます。
上面が平らで座面が円錐の形の頭をしているのが特徴のねじです。家具や建築関係で、頭の部分を出っ張らせたくないときや、締め付ける部材と面を合わせたいときに使います。
皿小ねじを使うときは、あらかじめ部材に「皿もみ」加工をして、ネジを締めこんだ時に面一になるようにします。皿もみ加工が小さすぎたりすると、ねじ頭部が部材と面一とならずに頭部が出っ張ってしまいします。また、皿もみ加工が大きすぎるとがねじ頭部が合わずに段差が出来てしまいます。
窓のサッシを見てみましょう。窓枠のところに皿小ねじが使われています。枠はアルミニウム性で、皿小ねじを止めるところにちょうど皿小ねじの頭部分が入るように枠が皿もみ加工がされています。この皿もみ加工があることで、皿小ねじの頭部が出っ張らず面がフラットになっています。
また、ドアの開閉部に使う蝶番(ちょうつがい)にも皿小ねじは使われています。これも蝶番そのものに皿もみがしてあって、皿小ねじを使うことでねじの頭が出っ張らないようになっています。ドアを開けた時や閉めた時に、ねじの頭が当たらない仕組みです。
もしこれをナベ小ねじで締め付けると、ドアが閉まらなかったり、開き切らなかったりという不都合が生じるので、皿小ねじが使われています。
ねじの呼び長さを表すときに、ほかのねじでは軸の部分の長さ(首下何ミリなど)を表すことが多いのですが、皿小ねじでは頭からの長さを表しますので、同じ呼び長さのほかのねじより、短く見えることがありますので注意しましょう。
十字ねじトラス頭
十字トラス小ねじのことを英語ではtruss head (machine) screwといいます。
トラス小ねじはナベ小ねじにと比べて頭の高さが少し低くて、さらに頭の直径は少し大きく、丸い形の頭部の形状が特徴です。トラス小ねじは座面が大きく、部材の緩み止めなどの効果が期待できます。
トラス小ねじは、緩やかな円形をしているので見た目もきれいで、デザイン性を考慮した製品などでよく使われます。トラス小ねじは見た目がきれいなのでザグリ加工を必要とせず、飾りねじとしても使われています。家具や家電製品の外装部分に比較的多く使われています。
また、トラス小ねじと部材の座面が大きいので、部材を締め付けても、ねじの頭がめり込みづらいという利点もあります。木材の家具を組み立てるときや、大きなものをしっかりと止めたい時に使用される事が多いです。
キッチンや洗面台にある取っ手の裏側にもトラス小ねじがありました。引き出しのつまみや取っ手を裏側から固定するのにも、トラス小ねじが多く使われていました。このように家具周りにトラス小ねじが多く使われています。
まとめ
この記事では十字ねじについて、その特徴や種類を解説してきました。ねじの頭部分の違いによって名称や用途も違います。目的の製作物によって使い分けをしましょう。
基本的に十字ねじの締め付けにはプラスドライバーを使用しますが、必ず頭部の十字のサイズに合った工具を使用するようにしましょう。
小さいねじに大きいドライバーでは、締め付けることはできません。逆に大きいねじに対して小さいドライバーでも締め付けできません。
サイズの合わないドライバーを使って、無理に締め付けたり緩めたりすると、ねじの頭をつぶしてしまいます。ねじ頭の溝が潰れてしまうことを「なめる」といいます。
このような事は、大体は頭部の十字のサイズの合わないドライバーを使って、しかも「力づく」で作業をした場合に起こりえます。特に電動ドライバーなど使用するときは十分注意してくださいね。
このような事のないように、頭部の十字のサイズの合った工具を使い、適切な力で作業をしましょう。
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