割りピンとは?用途や使い方を解説

割りピンは主に自動車や二輪車、鉄道車両に使用されています。私たちの身近で使用されていますが、なかなか実物を見ることはありません。割りピン1本で守れる安全があります。本記事では厳しい環境下で使用される割りピンの用途や使い方を詳しく解説しています。

割りピンとは?用途や使い方を解説のイメージ

目次

  1. 1割りピンとは?
  2. 2割りピンの使い方
  3. 3割りピンを選ぶときの注意点
  4. 4ねじや割りピンでお困りならツルタボルトがおすすめ!
  5. 5まとめ

割りピンとは?

割ピンの役割は、ナットのゆるみ防止と脱落防止です。

ボルトやナットは、通常どれだけしっかり固定しても、振動や温度差で緩んでしまったり、あるいは自然に外れようとする力が働きます。ボルトやナットが緩むと、機械は正常な機能を果たさなくなります。それどころか、事故や怪我のもととなってしまうのです。その問題を解消するのが割りピンです。

割りピンを使用することでナットやボルトの抜け落ちがなくなるため、安全性が向上すると言えるでしょう。新品の割りピンの形は女性が使用するヘアピンに似ています。割りピンはネジやボルトほど使用頻度が高くなく、使用される箇所も限られているため、実物を目にしたことがある方は限られているのではないでしょうか。

割りピンの用途

割ピンは穴の開いているボルトであれば、分野問わず様々なものに最適です。

私たちの生活に最も身近な割りピンの使用例としては、二輪車や自動車が代表的です。二輪車では、車輪を固定するボルト、ステップバー、ブレーキペダルなどに使用されています。また、自動車では以下に使用されています。
 

  • タイロッドエンド…ハンドルの操作力をタイヤへ伝える部品
  • ロアアーム…タイヤとサスペンションを車体に繋ぎ、走行中の振動を吸収、コーナリングや加減速時の前後左右の力を受け止める部品
  • ドラムブレーキのセンターナット

二輪車、自動車ともに足回りへの使用が中心です。いずれも風雨にさらされ、振動や熱の影響を直接受けるような厳しい環境下で使用されています。自動車や二輪車の足回りは頻繁に整備する箇所ではないため、より安全性を増すために割りピンが必要になるのです。

他には、特殊車両(高所作業車や消防車)のはしごやアームの可動部分に使用されていたり、フォークリフトの後輪車軸、リーチシリンダーやチェーンカラー、クレーンにも使用されています。鉄道車両(新幹線)の車輪や電線を掴んでいる部品にも使用されており、中々見る機会はありませんが私たちの生活になくてはならない存在です。

割りピンの規格

割ピンのサイズは、一般的にテールの太さによって決まり、呼び寸法(呼び径、下穴寸法)といいます。呼び寸法で0.6mm〜20mmまでのサイズがあります。呼び寸法はその直径の穴に使用できる寸法であって、実際に計るとサイズが違いますので注意しましょう。

市販の割りピンは呼び寸法×テールの長さを記載してものが多い傾向にあります。その他の呼び方として、規格番号、種類、材料などがあります。割りピンの素材には、鋼、黄銅、ステンレスなどが使われます。使うのはステンレスと鋼が一般的です。

以下の表は割りピンに使用される金属の規定です。

軟鋼線材の※SWRM6〜17または冷間圧造用炭素鋼線の※SWCH6R〜17R
※SWRM6〜17は炭素量が0.08〜0.20%含有されている軟鋼線材
※SWCH6〜17は炭素量が0.08以下〜0.20%含有されている冷間圧造用炭素鋼線
黄銅 銅及び銅合金線の※C2600Wまたは※C2700W
※C2600Wは銅7割、亜鉛3割の黄銅
※C2700Wは銅6.5割、亜鉛3.5割の黄銅
ステンレス 冷間圧造用ステンレス鋼線


外観に関して、丸くなっている側が頭、二股に分かれている側がテールと呼ばれています。曲げに関しても決まりがあり、テールを外側に90度折り曲げては戻す、を3回繰り返しても金属疲労による割れが発生してはいけません。

硬さに対しても呼び寸法で2.5mm以下は、ビッカース硬さ試験方法で以下のように定められています。
 
  • 1.6mm以下はビッカース硬さHV180〜240
  • 1.6mm以上2.5mm以下HV160〜220

※ビッカース硬さとは、硬さを表す尺度の1つで、ダイヤモンドでできた剛体を被試験物に押し付けて、その時にできたくぼみから硬い、柔らかいを決めます。

また、呼び寸法で2.5mmを超えるものは※ロックウェル硬さ試験方法、またはそれに準じる方法でロックウェル硬さHRB67〜92と決まっています。

※ロックウェル硬さとは、工業製品における押し込み硬さの尺度の1つで、ビッカース硬さより早く簡単に計算できます。

表面処理については一般的には施さないようになっています。メッキやその他の表面処理を行う場合は注文者が使用するようになっています。電気メッキを施した鋼ピンに関しては、必要に応じてもろさ除去の処理を行う場合があります。

割りピンの使い方

割りピンの使い方は以下の3ステップです。

  1. 新しい割りピンを入れる
  2. 割りピンを曲げる
  3. 割りピンを調節する

小さな部品ではありますが、大事な役割を果たしていますので使用方法と使う際の注意点ついて解説します。

①新しい割りピンを入れる

ボルトやナットの穴に異物が入っていないか確認しておくのがポイントです。異物が入っていると異音の原因や、正しく割りピンが差し込めないなどの不具合があります。何もないことを確認したらまっすぐ新しい割りピンを差し込みましょう。

②割りピンを曲げる

頭が出ていると、それだけ遊びがあることになるので、頭を押し込みながらテールをペンチで曲げていきましょう。割りピンには作業しやすいようにテールの長さに少しだけ長短があります。テールを曲げることにより初めてナットの抜け止めの役割を果たすのです。

テールは2本を左右に開くように曲げるのが基本ですが、2本とも同じ方向に曲げても問題ありません。テールを曲げた後は遊びがないか確認してください。ここでいう遊びとは、穴と割りピンの間に隙間ができて割りピンが動くことを言います。割りピンが動く場合は、取り付けが甘いか、割りピンのサイズがあっていない可能性があります。

③割りピンを調節する

車の整備などでは、長すぎると作業者が怪我をしてしまう恐れがあるため、余分な長さがある時はペンチやニッパーで適切な長さにカットしたり、調節するのが良いでしょう。長さを調節しなかったからといって何か不具合が出るわけではありません。あまり神経質にならず、まずは外れないことが最優先です。

割りピンの抜き方と使用した割りピンについて

割りピンを抜く時はペンチなどを使用して曲がった箇所をまっすぐに戻し、頭をペンチで引っ張りましょう。頭が出ていない時はテールを真っ直ぐにした後に軽くハンマーで叩くと頭が出てきます。車やバイクの整備で割りピンを使用する場合、切り欠きのないナットが使われていることもありますので、割りピンを外す時に、どのように割りピンが付いていたのかを覚えておくとよいでしょう。

割りピンに限ったことではありませんが、金属は曲げると金属疲労が発生し、折れやすくなります。そのため、一度使用した割りピンは再利用しないでください。割りピンは消耗品です。たとえ取り外した割りピンに割れがなくても、強度は確実に落ちています。安全のために取り付けている割りピンが、折れて事故につながっては元も子もありません。

割りピンを選ぶときの注意点

割りピンを選ぶときの注意点は2点あります。

割りピンの規格に注意、適切な大きなの割りピンを選ぶ

割りピンは穴のサイズにあった適切なサイズを選びましょう。

穴の大きさに対して割りピンが細すぎると、穴と割りピンの間に遊びができて、振動により磨耗、折損して割りピン自体が脱落し、ひいてはナットが緩んだり脱落したりするため、万が一の時に割りピンとしての役割を果たせません。

逆に、穴に対して太すぎる割りピンを強引に差し込むと、次に割りピンを交換する時に外れなくなってしまう可能性があります。テールの長さについては穴に差し込んで、テールを曲げた時にボルトの中心以上であれば問題ありません。中心以下の場合はナットやボルトの抑えつけに不安が残りますので、呼び寸法はそのままに、テールの長さだけ見直す必要があります。長すぎる分にはカットするとよいため、問題にはならないでしょう。

呼び寸法と実寸ではサイズが違う

実寸は呼び寸法より細くなっています。どれだけの差異があるのか、実際に規格表をご覧になり確かめてください。呼び寸法と実寸の違いを理解していないことによりサイズを間違って購入した、ということにもなりかねません。また、欲しいサイズがないことも考えられます。実際に呼び寸法で3mmと6mmの割りピンは廃止されています。

販売しているものは呼び寸法で表記されています。ですので呼び寸法で割りピンを選ぶのが望ましいとされます。しかし、どうしても呼び寸法が分からない時は店頭や電話で、実寸であることを伝えましょう。

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ねじでお困りの際は、一度ツルタボルトへ相談してみると良いでしょう。

ツルタボルト株式会社/ねじの事なら何でもお気軽にお問い合わせください。

まとめ

まとめ

・割りピンは車などのナット、ボルトの緩みや脱落防止に使用される
・割りピンは消耗品なので再利用はしない
・割りピンは車や機械の可動部分に近いところなど、厳しい環境下で使用されている
・割りピンは中々見る機会はないが身近なところに使用されている
・割りピンを選ぶ時は適切なサイズ選定が重要
・呼び寸法と実寸の違いに気をつける

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