2020年04月22日公開
2020年10月21日更新
リベットとは?用途・種類・リベッターの選び方・外し方
リベットは、部材と部材を接合する方法で、半永久的で高い強度の締結が手軽く行えるため、古くから航空機の外板を留めるなどの用途に用いられてきました。今回はリベットとネジの違いやリベットの用途、種類、サイズについて、またリベットの選び方や外し方などを紹介します。

リベットとは?
リベットは、部材同士を締結する手段として古くから使われています。リベットは半永久的で、しかも高い強度があって手軽に締結できるため、古くから用いられてきました。
リベットは、頭部とねじ部のない胴部からなり、穴を開けた部材に本体を差し込んでリベッターといわれる専用工具でかしめることで反対側の端部を塑性変形させて接合させるものです。
リベットの素材は鋼・ステンレス鋼・アルミニウム・銅などの金属製の円柱状になっていて、片側にやや太い直径の頭がついていて、対象部材の穴に通した後、反対側も同様の形状につぶすことで固定できます。
同じ目的で使われているボルト・ナット、ネジとは異なり容易に取り外しができませんから、半永久的な締結用として使われてきました。また、用途によってはプラスチック用のものもあります。
リベットの頭部の形状による分類では、丸頭(半球形)、平頭(円盤状)、皿頭(枕頭鋲・表面が平で根元が円錐形)に分けられています。
リベットの特徴
リベットは、軸の一端がフランジ状になっていて、片側をかしめることによって変形させ、締結を行う構造になっています。
リベットは一度かしめてからは外すことを想定していませんから、半永久的な締結力が得られるのが特徴です。また、ネジと同様でさまざまなサイズがあります。
リベットの部位の名称
リベットの中の一般的なブラインドリベットを基準にして、リベットの名称を解説します。
リベットボディは、穴を開けた部材の中に差し込んで締結を行う部分であり、リベットの本体となる部分です。
リベットボディを部材の下穴に差し込み、反対側の端をかしめることによって部材同士をしっかりと締結することができます。
リベットボディのかしめる側と反対の端には、刀の鍔のようなフランジがついています。このフランジとかしめた後端が部材を挟み込むことで接合が可能になります。
そして、リベッターでかしめる作業を行うのですが、シャフトとよばれるガイドとなる部分が、リベットボディの中に差し込まれます。
リベットの構造
接合したい部材の穴にリベットを差し込みますが、フランジ部分で引っかかることでリベットボディは穴の中にとどまります。この状態のまま、リベッターによって本体の中のシャフトを引き抜きます。
それにより、シャフトの太い部分がリベットボディを押し広げながら変形させますが、これが『かしめ』という作業です。
一定以上の力によってかしめ作業は終わり、シャフトは一部の部品を残して切断されます。
リベットの種類
リベットには、以下のような3つの種類がありますが、それぞれについて解説します。
① ブラインドリベット
② 中空リベット
③ 樹脂リベット
ブラインドリベット
ブラインドリベットは、リベットといえばブラインドリベットと言われるほどメジャーに使われているリベットです。
ブラインドリベットは、部材の片側からのみで作業できるというのが特徴です。ブラインドリベットは、裏側に工具が入らなくても締結が必要なときなどに多く使用されています。
締結圧はその細い心棒の破断耐力によるものなので、同じ径の一般的なリベットと比べると小さくなります。釘のように見る心棒を空気圧や電動または手動などのリベッターで引っ張ることで、円筒状のリベット内側を変形させたあと、心棒を引きちぎることでかしめます。
このブラインドリベットは、初心者でも簡単に使用でき、しかも強度のある締結ができます。さらに規格もサイズも豊富なことから、DIYなど一般的なものにも使用されています。
中空リベット
中空リベットは、リベットのシャフトになる部分が空洞になっている軽量のリベットです。中空リベットを使用するときは専用工具が必要で、手軽に使用することが出来ないリベットだといえます。
とはいえ、使用用途は意外と多く、小学生のランドセルでのパーツや、文房具で使われるバインダーなど、さまざまな場面で中空リベットが使用されています。また、この中空リベットは用途に合わせてさまざまな形状や規格のものがあります。
樹脂リベット
樹脂リベットは、樹脂製のリベットで、素材の柔らかさを利用してプラダンの接合や、車のフェンダー部分の接合、車の内装の接合、バイクのカウリングなど、多くの場面で使用されています。
金属製のリベットとは異なり、廃棄するときに分別しなくても捨てられるものが多いという利点があります。また、高い強度を持っていながら、取り外すことも可能な種類があります。
そして、樹脂リベットは専用工具がなくても締結作業が可能なものが多く、その点でも初心者が簡単に使えるDIY向きだといえます。
リベットの用途
リベットは、輸送機器・電子機器・住宅建材・一般機器などさまざまな用途で活用されています。基本的には対象部材に穴をあけて差し込み、ノーズピースに密着させて専用工具などで簡単に締結させます。
リベットが使われるもの
リベットが使われる部材には多くの素材のものがあり、金属だけでなく帆布などの厚手の布や、皮革の接合にも用いられています。たとえば、ジーンズのポケットや鞄などで使用されます。衣料用では、装飾目的でリベットを打つこともあります。
リベットとねじの違い
部品同士をつなぐ方法としては、まずネジやボルトを思い浮かべるのではないでしょうか。それらは軸に螺旋状に切られた「ネジ」を利用して接合する方法です。
ネジは専用工具で締め付けることによって締結力を得られますが、外すことを想定して作られています。一方リベットの方は、外すことを想定してないという違いがあります。
リベットのメリット
リベットのメリットには以下の4つのものがありますが、それぞれについて解説します。
① 1度付けたら外れない
② 裏側からナットで止める必要がない
③ 見た目がきれい
④ 打ち込みが楽
1度付けたら外れない
リベットによる締結はネジやボルトと違って、一度取り付けたら外れません。また、2つの部材を挟み込むように固定しますから緩んだりする心配もありません。
裏側からナットで止める必要がない
ボルトとは違い、裏側からナットで止めるといった作業がありませんから、裏側に手や工具が入らない場所などで便利です。
見た目がきれい
リベットによる締結では、見た目をきれいに仕上げることができます。
打ち込みが楽
リベットは専用の工具によって簡単に施工することができます。
リベットにデメリット
リベットのデメリットには以下の4つのものがありますが、それぞれについて解説します。
① 外すのがやや面倒
② リベットは再利用できない
③ 下穴をあけなければならない
④ 専用工具が必要
外すのがやや面倒
リベットは一度付けたら外れないというメリットがありますが、それはデメリットでもあります。
リベットは再利用できない
リベットは再利用できないような構造になっていますから、一度使ったリベットは再生できません。
下穴をあけなければならない
リベットによる締結は、下穴をあける作業が必要です。
専用工具が必要
リベットは、ネジやボルトでの締結とは違い簡単な工具では締結できず、専用の工具が必要です。
リベットの使い方・外し方
リベットの使い方や外し方について解説します。
必要な工具
リベットを使用する時には専用工具が必要ですが、それがリベッターといわれている工具です。リベッターの中でも人力でかしめることができるハンドリベッターは、手軽にかしめる作業が行えますから人気です。
このハンドリベッターは、使用するリベットのサイズに合わせてノーズピースを取り替えることができるようになっているものが一般的です。
打ち方や形状によって3つの種類に分けられます。リベッターを寝かせた状態でかしめる片手式横型と、リベットを縦にした状態でかしめる片手式縦型、両手を使ってかしめる両手式縦型とがあります。
初心者には、片手式横型がもっともかしめ作業が容易なのですが、縦型は狭い場所でもかしめることができるという利点があります。
リベットの使い方
リベットのかしめ方を解説していきます
下穴をあける
接合する部材に、締結するリベットの規格サイズに合わせた下穴をあける作業をします。下穴の大きさはリベットのパッケージに記載されていますから、その記載通りの穴をあけます。
また、サイズが分からない場合は、リベットボディよりも一回り大きく、フランジよりも小さいサイズの穴をあけます。
下穴を開けた後は、切削で出た切り屑をしっかりと除いておきます。
リベットをセットする
次に下穴にリベットをセットしますが、使われるリベットの大きさは、接合する部材同士の板の厚みに合わせて決めます。リベットの差し込み方は、リベットボディ側を下穴に差し込み、シャフトが外に飛び出るように入れます。
かしめる際に抜けないように、フランジが引っかかる位置までしっかりと差し込みます。
ノーズピースを交換する
リベットをかしめる作業で使用するハンドリベッターには、使用するリベットのサイズにあったノーズピースが付属されています。
ノーズピースが大きすぎる場合は、しっかりとかしめることができません。また、ノーズピースが小さすぎると、かしめた後にシャフトがうまく排出できなくなりますので適当なサイズのノーズピースを選んで装着します。
ノーズピースは、付属の工具やレンチを用いて、しっかりと固定します。
リベットをかしめる
次にかしめ作業ですが、シャフトをリベッターに挿入し、ノーズピースをリベットの裏に密着させます。
ハンドリベッターのハンドルをしっかりと握り込みます。リベットをかしめることでシャフトが切断され、自動的にリベッターからリベットが外されます。
一度でうまくかしめられない場合は、ハンドルをいったん開放し、再度ハンドルを握り込んでかしめます。シャフトがちぎれたら、ハンドリッターを持ち上げてリベットから離します。
シャフトを排出する
握っていたハンドリベッターのハンドルが開放されると、シャフトがリベッターから排出されます。もしシャフトが排出されない場合は、何度かハンドリベッターのハンドルを握ったり離したりすることで、シャフトが排出されます。
カシメ作業の完了
以上でかしめ作業は完了ですが、最後にかしめたリベットがしっかりと締結されているかを確認します。リベットを何箇所も打ち込む場合は、このかしめ作業を繰り返すことになります。
リベットの外し方
リベットは基本的には再利用はできませんが、ドリルを使ったりリベット外しを使ったりして外すことが出来ます。
以下に2つのリベットの外し方を紹介します。
リベット外しで外す
リベットを取り付ける専用工具がありますが、リベットを外す時
専用工具もあります。あまり知られていない工具ですが、大量のリベットを外すときなどには便利です。
リベット外しは、リベット抜きパンチともいい、外し方はリベットの頭にポンチの先端をあてがい、ハンマーなどでポンチをたたいてリベットを抜き取ります。ただ、リベット抜きパンチは、リベットの下穴が大きくなってしまうこともあり、下穴を再利用する場合には不向きです。
ドリルによる外しかた
ドリルのサイズは、リベットサイズによって決めますが、下穴と同じサイズのドリルが理想です。
リベットを外す時にドリルを使う理由は、ドリルによってリベットの頭を飛ばして外すことができるからです。
ドリルによるリベットの外し方は、まずリベットの頭にドリルを当て、ゆっくりと穴をあけるようにします。リベットの頭が取れれば、後は残ったリベットを押し込んで下穴から抜くことができます。
リベットを外すときに注意したいポイント
ドリルを使ってリベットを外したあと、下穴を再利用したいときはドリルサイズに注意して作業します。最初は小さいサイズから少しづつサイズを上げていくことで失敗のリスクを減らすことができます。
リベッターの選び方
リベッターには以下の3種類がありますが、それぞれについて解説します。
① ハンドリベッター
② 電動リベッター
③ エアリベッター
ハンドリベッター
ハンドリベッターは、少量の作業をするのに適したリベッターです。価格も他のリベッターよりもかなりリーズナブルです。ただ、連続作業の効率性が悪いため、使用頻度の低い方におすすめです。
電動リベッター
現在の主流となりつつあるのが電動リベッターです。バッテリータイプのリベッターはコードがありませんから、使い勝手がよく効率的な作業に向いています。
作業量が多かったり、エアホースの使い方が面倒な方におすすめのリベッターです。デメリットとして、予備のバッテリーがないとバッテリー切れの際は作業が止まってしまうことや、エアーリベッターと比べると多少価格が高いことです。
エアリベッター
昔ながらのリベッターで、大量の作業に適したモデルです。重量は電動式に比べると軽く、価格もやや抑えめです。
作業量が多く、エアーの用意ができ、エアーホースの扱いが苦にならないという人におすすめです。
エアーリベットのデメリットとしては、エアーが用意できない場所では使用が難しく、コンプレッサーを合わせた購入金額は、電動リベッターよりも高価になることです。
まとめ
今回はリベットの用途やその使い方、リベットとネジの違いやリベットのサイズなどについて解説しました。
- リベットは、部材同士を締結する手段として古くから使われています。
- リベットの特徴は、軸の一端がフランジ状になっていて、片側をかしめることによって変形させ、締結を行う構造になっています。
- リベットの種類には、ブラインドリベット、中空リベット、樹脂リベットがあります。
- リベットの用途は、輸送機器・電子機器・住宅建材・一般機器などさまざまな用途で活用されています。
- リベットが使われる部材には多くの素材のものがあり、金属だけでなく帆布などの厚手の布や、皮革の接合にも用いられています。
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ねじでお困りの際は、一度ツルタボルトへ相談してみると良いでしょう。