2021年02月28日公開
2021年02月28日更新
フランジナットの用途と特徴!ゆるみ止め六角ナットの規格やサイズを解説
フランジナットは、ナットの下部に傘のようなものがついたナットで、その部分をフランジと称するため、フランジナットと呼ばれています。作業効率の向上や外観を綺麗に仕上げたい場合によく使われます。ここでは、フランジナットの特徴や使用方法を解説します。
フランジナットとは
フランジナットとは、六角ナットの下部に傘のような座金が付いたナットです。この部分がフランジと呼ばれ、平座金と同様の働きをします。
フランジナットの特徴
一般的にボルトナット締結の際には平座金などとセットで使用されることが多いですが、フランジナットの場合はフランジが平座金の役割をしています。
またフランジナットにはフランジの座面に、緩み防止効果を強める凹凸があるものとないものがあります。この凹凸をセレートと呼びます。
フランジナットの用途
フランジナットを使用すると、座金を組み込む工程が省けますので、施工箇所が多い装置や作業では、工数の削減目的で使用されます。また、ナットと座金の一体化によるデザイン性の高さで、装置などをスタイリッシュなフォルムに仕上げる目的でも採用されます。
フランジナットの規格
ネジの呼び径(d) | M3 | M4 | M5 | M6 | M8 | M10 |
平径(s) | 5.5 | 7 | 8 | 10 | 12 | 14 |
フランジ径(dc) | 8 | 10 | 12 | 13 | 17 | 19 |
対角(e) | 6.08 | 7.74 | 8.87 | 11.05 | 13.25 | 15.5 |
六角部高さ(m1) | 2.4 | 3 | 3.3 | 4 | 5 | 6 |
フランジ厚さ(c) | 1 | 1.1 | 1.1 | 1.5 | 1.5 | 1.8 |
角度(°) | 15 | 15 | 30 | 30 | 30 | 30 |
フランジナットの規格は上記の通りですが、この規格以外のフランジナットも市場に流通しています。材質は鉄製やステンレス製が多く、他にも黄銅やチタンなどもあります。
セレートあり、なしのどちらも同様の規格です。
フランジナットの使用方法
フランジナットの使用方法は、一般的な六角ナットと同様の工具を使って簡単に取り付けることができます。フランジナットを使用すると、平座金不要で接地面積を広げることができますが、母材を傷つけてしまうなどの注意点があります。
フランジナットの原理、構造
フランジナットのゆるみ抑制効果にはフランジが寄与しています。座面の接地面積を広げることで応力の集中を防ぎ、摩擦力を高める効果があります。セレートがあるタイプでは、この摩擦力がさらに向上します。
フランジナットの取り付け方
フランジナットは一般的な六角ナットと同じように、スパナなどの一般的な工具を使って簡単に取り付けることができますが、取り付ける方向に注意が必要です。当然ですがフランジ部分を母材側に向けて取り付けないと、ゆるみ抑制などの効果は得られません。
フランジナット使用上の注意点
1つ目は、繰り返し使用によるセレートの劣化と、フランジ部分の変形による応力の偏りが原因で、ゆるみ抑制効果が低下することです。
また、セレートありのタイプを使う場合にも注意が必要です。セレートなしのタイプよりもゆるみ抑制効果が高くなる反面、母材を傷つけてしまう可能性もあります。そのため、使用する箇所によってセレートありとセレートなしのどちらを使うかの検討が必要です。
まとめ
フランジナットは、接地面積を大きくする座金とナットが一体になったものです。そのため、作業工数を減らしたい場合や外観を綺麗に仕上げたい場合に使用されています。しかし、フランジ裏側のセレートが母材を傷つけてしまう可能性や、強く締めすぎるとフランジが変形しやすいなどのデメリットもあります。セレートありなしも含めて、採用前に十分な検討が必要です。