ネジの作り方・製造方法とは?手順に沿って解説!

私たちの生活に欠かせないねじですが、普段生活をしていてねじの作り方を考えたりする事は少ないのではないでしょうか?実はねじの作り方は一つではなく様々な手法を用いて制作されます。本記事ではねじの作り方や製造方法を手順に沿って詳しく解説していきます。

ネジの作り方・製造方法とは?手順に沿って解説!のイメージ

目次

  1. 1ねじの作り方は大きく分けて2種類
  2. 2転造方法によるねじの作り方
  3. 3切削方法によるねじの作り方
  4. 4会社ごとの工夫や作り方の違い
  5. 5ねじでお困りの際はツルタボルトがおすすめ!
  6. 6まとめ

ねじの作り方は大きく分けて2種類

ねじの作り方は大きく分けて2種類


ねじの製造方法は最初はヘッド部分が作られ、その下になるねじ部分は棒状になっています。それだけではねじとしての働きをすることができないため、ねじ山を成形します。

ねじの作り方は大きく分けると2種類あります。それが転造方法と切削方法です。簡単に言うと、転造方法は元々あった素材を圧縮し潰すことでねじ山を成形していくものをいい、切削方法は素材を切り削りながらねじ山を作っていく方法をいいます。

ねじは丸棒など棒材から製造されるのですが、この時の製造方法によって強度に違いが生じることが知られています。具体的にいうと、転造方法のほうが強度的に切削方法よりも最大で2割程度強くなるとされています。

それぞれの方法についてみていきましょう。
 

1.転造方法

ねじ山を成形するためには、昔はねじ山を1つずつ、切削加工していましたが、ねじの必要量が増えるとともに、転造方法が開発され、これによってねじの大量生産が可能になりました。転造とは、加工物を型に挟み込み転がして加工する、金属の可塑性(かそせい)を利用した「塑性加工」のことをいいます。

可塑性とは固体に外から力を加えて変形させ、力を取り去り元に戻らない性質をいいます。塑性ともいいます。例えば、アルミの缶をぎゅっと握り力を加えて握りつぶします。手を放してもアルミ缶は元に戻らずに変形したままになります。その元に戻らない力を可塑性といいます。

転造とは金属が持つ可塑性を利用し、型で加工物を挟み込みさらに転がしねじやパーツを作る加工方法をいいます。同じねじの製造やパーツを作る切削加工に比べ、非常に優れた加工方法です。
 

切削方法

転造方法は押して伸ばす加工方法ですが、切削は文字通り切って削る加工方法を指します。切削方法で作られたねじは製品によって異なる場合があるものの、私たちが普段使っているねじの多くで用いられています。

切削加工では丸鋼や棒状、線状のものを削り出すため、加工中は削りくずを出しながら元の材料よりも小さな寸法のねじを作り出します。

素材を削って製造するため、大量な切りくずが出る点や刃物を多用することで新たな刃に取り換える回数も多くコストがかかる点です。そのため、同一製品のねじを大量に早く作り出す必要がある大量生産には不向きな加工方法です。

転造方法によるねじの作り方

転造方法によるねじの作り方

ホッパーという箱にねじのヘッダー部分を入れ、1本ずつレールの上に並べねじ山を切った銅製の転造ダイス、または2枚1組のダイプレートに送ります。

ダイプレートは片側は固定し反対側は移動するようにできており、ねじの軸部分(ヘッダーブランク)は、この2枚のダイプレートの間を圧力をかけられ押し付けられながら転がっていきます。この過程でブランクの表面にねじを成形することができるので転造方法と名が付けられました。

転造方法の特徴や優れている点

転造ねじは、切削ねじよりも引っ張り強さが大きいのが特徴です。また製造の際、押しつけて塑性加工で製造されているため表面も固くなっています。これを加工硬化といいます。さらにダイブレードで連続生産するためねじの精度も均一を保つことができます。

転造方式(塑性加工)によって製造されるねじは、小さなねじだけではなく大き目のねじや太いボルトなどのねじも製造可能です。金属内部の繊維を削らず切断も行わないため、ファイバーフローという耐摩耗性に優れたねじを作ることができます。

また、転造方式は金属を数回加工するだけでねじを製造することができる上に、機械によって自動的に作り続けることができるので切削加工よりも短い時間で加工できます。非常に大量生産に向いている加工方法で、ねじはどんな分野でも必ず必要となる部品のため、大量生産できることは必須です。そのためできるだけコストと時間を抑え効率的な製造方法が求められます。
 

転造方法によるねじの作り方の手順

「ねじ転造」は冷間塑性変形により山を盛り上げてねじ山を成形します。

一般的なねじ転造方法は平ダイス式が用いられることが多く、平ダイス式は固定側と移動側の2枚一組のダイプレートと呼ばれる金型を使用し、転造ダイス2個を回転させ、油をかけながら押し付け転がることによってブランクの表面にねじ山を成形させます。ダイスのねじ山部が丸鋼を圧縮し、ねじ谷部を作ります。押して盛り上げられる部分はねじの山部を作り出します。

ファイバー(金属組織の流れ)が山から谷へと連続しつながっているため強度が強くなります。
強度はねじの有効径で決まるため、ねじ部と軸部の強度はほぼ等しくアンカーボルト全体として十分に伸びます。精度も高く表面も滑らかで加工時間も早く、M16~M48の小・中サイズには理想的です。

 

転造方式を使ったねじの加工の代表的な作り方の手順

  1. 頭部圧迫・・・ねじの頭の部分を成形
  2. 転造・・・ねじ山の部分を成形
  3. 熱処理・・・ねじを硬く、強くする処理をする
  4. 表面処理・・・ねじをきれいに、錆びないようにする
  5. 検査・・・製品検査、機械全数検査

平ダイス転造方式

一対の平ダイスを向かい合わせ、一方のダイスを固定させてもう片方を往復運動させる転造方法の1つです。素材の供給と排出を別々の場所で行うため供給の自動化に有利で量産性に優れ、ランニングコストの低減が可能です。
 

プラネタリ転造方式

プラネタリ転造方式は固定された扇形の型であるセグメントダイスと主軸に取りつけて回転する丸ダイス(ロータリーダイス)を対にして加工する転造方式です。カムなどによってタイミングをとりながらブランク(素材)を送り込むと連続加工が可能となるため、生産性も高くなります。

丸ダイス転造方式

丸ダイス転造方式ではローラ形の型であるダイスの間に素材を挟み込み、ダイスの回転と周期的な圧縮で素材を盛り上がらせ加工する転造方式です。ダイス間の距離を自由に設定できるため、加工の応用性に優れています。

切削方法によるねじの作り方

切削方法によるねじの作り方

次に切削方法によるねじの作り方です。切削加工とは素材となる金属に刃物をあて、切削工具や加工機械を用いて削り出す加工方法です。

主な加工方法として、旋盤加工・ボール盤加工・フライス加工・リーマ加工があります。

切削方法の特徴や優れている点

切削方法は、切ったり削ったりする作り方なので元の金属よりも小さなねじを製造し、多くの種類のねじを作ることができ、精度も高い点が長所です。1つの機械で多くの種類のねじの加工ができるので、多品種少量生産や試作品の加工にも用いられます。

切削方法によるねじの作り方の手順

切削ねじの作り方はねじ山径よりも大きな丸鋼か、ねじ山形状の刃物のどちらかを回転させ、油をかけながら丸鋼から削りねじを製作します。そのためファイバーは切断されるため、やや強度も弱くなります。切削ねじの強度はねじの谷径で決まります。転造ねじと比較すると強度は5~20%小さくなります。

旋盤加工

素材自体を回転させながら刃物を固定し削り出す加工方法です。外丸削り、テーパー削り、中ぐり、筑き切りなどの加工が可能です。

NC旋盤では、指定されている長さに取りしろをつけた寸法の素材を用意し、ネジの頭の部分の寸法で外形を削ります。次にネジのサイズの太さまで外形を削り、面取りをし頭の部分からネジが始まる部分までの外形の溝を切ります。

次に指定のネジ専用のねじ切りバイトを使用し、少しずつねじ切りをしていきます。ねじ切りチップの中にはバリができないように加工されているものもあり、1つ1つねじが通るかどうか確認していきながら完成させていきます。
 

ボール盤加工

ドリルを回転させて穴あけを行う加工方法です。リーマ仕上げ・ねじ立てなどの加工が可能です。
 

リーマ加工

ドリルによって開けられた穴の精度や表面の粗さに対する仕上げとしてリーマ加工は用いられます。穴内面の中ぐりなどの加工が可能です。
 

フライス加工

素材を回転させず、刃物を回転させ削り出す加工方法です。平面削りや溝削りなど使用する工具によって多様な加工が可能です。
 

会社ごとの工夫や作り方の違い

会社ごとの工夫や作り方の違い

ねじの製造方法は、ねじの製造会社によって作り方の違いや工夫があります。転造方式を利用している企業もあれば、切削方式を得意としている企業もあります。NC旋盤やフライス加工、切削方式、転造方式を用いている工場がほとんどですが、加工に使用している機器は工場によって異なってきます。

企業紹介等に加工方法が記載していることもあり、興味がある方はお近くのねじ製造会社に問合せをしてください。

新潟県にあるねじ製造会社6社

新潟県にある燕市と三条市には、ねじ製造工場がとても多く、燕市と三条市含め新潟県中央地域は燕三条と呼ばれ全国でも金属加工製品の産地として有名です。

ねじの製造工場は新潟に多いのですが、流通量が最も多いのは大阪府です。ねじに関して様々な得意分野のメーカーがあり、顧客の要求に応じ各種ボルト、ナット、タッピンねじに至るまでの激戦区になっています。

そして新潟県はねじの加工において工場が多く、各社しのぎを削り技術を磨いています。中でも6社ご紹介します。
 

ツルタボルト株式会社

住所 〒955-0082新潟県三条市西裏館2丁目10-25
TEL 0256-32-5031
紹介 ツルタボルト株式会社は、新潟県下ではトップクラスのボルトやナットなどの品揃えがあります。自社工場で、特殊なネジや部品の加工も行っています。
URL ツルタボルト株式会社

株式会社長岡製作所

住所 〒940-2022新潟県長岡市鉄工町2丁目3番62号
TEL 0258-27-0455
紹介 株式会社長岡製作所は塑性加工に加え、各種切削加工を手掛けています。精密ねじ付き部品や油圧部品などを取り扱っています。
URL http://www.nagaokass.jp/

山本ねじ工販株式会社

住所 〒959-1286 新潟県燕市小関1065番地1号
TEL 0256-66-3150
紹介 山本ねじ工販株式会社は、締結部品や金属パーツを取り扱っています。更にこれらの周辺事業も展開しています。
URL http://yamaneji.com/

株式会社 金子鉄工所

住所 新潟市中央区沼垂東5-4-15
TEL 025-244-3932
紹介 NC旋盤やフライス加工を使った機械加工を行っています。ボルトやナットを製造しています。
URL http://www.kaneko-tk.jp/pc/index.html

株式会社 吉則螺子製作所

住所 〒943-0225 新潟県上越市三和区野6138-2
TEL 025-532-2701
紹介 式会社 吉則螺子製作所は、冷間圧造に加え、切削加工、フライス加工、プレス加工などを手掛け、ハイグレードな製品づくりと長い実績があります。
URL http://www.yoshinori.co.jp/

ケーエスエス株式会社

住所 新潟県小千谷市大字山谷字新保4-14
TEL 03(3756)3921(代)
紹介 ケーエスエス株式会社は精密ボールねじをはじめ、転造ボールねじ、精密送りねじ、樹脂ナットすべりねじなどの直動部品の開発や製造を行い販売も手掛けます。
URL https://www.kss-superdrive.co.jp/index.htm

ねじでお困りの際はツルタボルトがおすすめ!

ねじでお困りの際はツルタボルトがおすすめ!

ねじのことなら、新潟県内に本社があり豊富な種類のねじに対応している「ツルタボルト株式会社」がおすすめです

ツルタボルトでは燕三条で培った確かな技術と経験で、特殊オーダー品も低コストで迅速に対応する事が可能です

また、ボルト・ねじ類から機械・工具まで常時30,000点の在庫数で最適な製品を提案してくれます。今後はボルト・ナットを超えて、締結用品全般・締結を補助する工具などの情報・知識の提供などを顧客に提供していきます。

ねじでお困りの際は、一度ツルタボルトへ相談してみると良いでしょう。

ツルタボルト株式会社/ねじの事なら何でもお気軽にお問い合わせください。

まとめ

まとめ

本記事では、ねじの作り方の加工方法について詳しく解説しました。生活の中に溶け込んでいるねじですが、加工方法は多種多様であり、各工場においても特徴があります。

ねじの作り方は従来の切削加工に加え、転造などの塑性加工が開発されたことにより大量生産が可能になっています。既製品のねじはISOなどによって、寸法などが規定されています。そのため製造者は規定通りに作らなければなりません。

大量生産を行うための製造工程の工夫によって低コスト化が追及され開発された転造方式はまさに大量生産にうってつけの方式ですが、小ねじに至っては1本数円で取引されるようになり、ねじの製造技術は成熟している状態といえるでしょう。新たな加工方法が開発されない限りは現在の加工方法が用いられていくことでしょう。

【ねじの加工方法】

  • 転造方法
  • 切削方法

【転造方法のメリット】
  • 大量生産ができる
  • 切削加工のような切りくずが発生しない
  • ファイバーフローという耐摩耗性に優れたねじを作ることができる
  • 強度が高い

【切削加工のメリット】
  • 元の金属よりも小さなねじを製造し、多くの種類のねじを作ることができる

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