2020年06月22日公開
2020年10月26日更新
ネジと釘の使い分けや違いは?適している使い方・メリット・デメリット
ネジと釘の違いをご存知でしょうか。ネジと釘は非常によく似ていますが、それぞれの特性、適する使い方は異なります。ネジと釘は打ち込む道具も違います。今回はネジと釘の違いや使い分け、それぞれのメリット・デメリットを解説します。DIYを行う際の参考にしてください。

ネジと釘の使い分けや違いは?適している使い方・メリット・デメリット
ネジと釘の使い分けや違い、適した使い方やそれぞれのメリット、デメリットをご存知でしょうか。
釘もネジも部材同士を固定するものです。一般的には釘と比べられる時に使うネジはビスというものになります。どちらも木材、鉄、コンクリート、アルミ、プラスティックなどの固定に使われています。
釘とネジの大きな違いは、打ち込む際に使う道具の違いです。ネジはネジ頭のプラスまたはマイナスのどちらかを電動ドライバーなどを使いまわして締め付けていきます。たいして釘は手でハンマーを使い打ち込んでいきます。
釘は昔の日本建築でよく使われていましたが、現代の建築ではネジ(ビス)の方が多用されています。
ネジと釘は弱点が違う
ネジ(ビス)と釘は形は非常に良く似ていますが、それぞれ弱点が異なります。それぞれの弱点を理解した上で、使い分けが必要です。
釘はハンマーを使い簡単に部材に打ち込むことができますが、ネジは電動工具がないと何本も打つことができません。逆に釘は打ち損じしてしまいやすく、緩みやすいという弱点があります。一方、ネジは緩みにくく締め直しもしやすいのです。
ネジと釘は適している場所が違う
現在はネジ(ビス)の使用頻度が高いため、釘よりもネジのほうが使い勝手が良いと思われがちですが、適している場所がそれぞれ異なります。
家づくりや小屋づくりは釘の特徴を生かし、釘が適している箇所は現在でもたくさんあります。
建築金物や構造用合板は釘留めが現在でも主流になっています。
日本は地震大国なこともあり、建築する際には地震を想定して作られます。地震の際には柱と土台の間に、強い引き抜きの力がかかります。そのため補強金物をしている釘には強いせん断力が働きます。しかし、補強金物そのものを引き抜いてしまうような力はほとんどかかりません。
構造用合板の場合も同じように、地震で家屋が揺れると合板と柱の間に横のズレが生じます。釘をせん断する力が働くためネジよりも釘のほうが適している、といえるのです。
ネジ(ビス)は引き抜きに対する抵抗力が強く、部材をしっかりと密着させることができるため、上向きにモノを取り付ける時にはネジ(ビス)が適しています。
天井から下にライトを吊るすなどの場合、釘で取り付けると、長年の間に緩みが生じ、落下する恐れがあります。しかし、ネジであれば長さや重量によるものの、そういった心配は非常に少ないです。重い照明器具を支えるシーリングは必ずネジで固定しましょう。
ネジと釘はメリットとデメリットが違う
ネジと釘は似たような形状をしていますが、それぞれメリット・デメリットが異なります。次の章でメリット・デメリットの詳細は紹介しますが、簡単に言うと形状による違い、抵抗力の違いがあります。
ネジは本体の表面の螺旋状の溝があり、回転させながら締め込んでいくものです。そのため、緩みにくく、締め付けている途中で折れ曲がりにくく、締め間違えた場合にも逆回しにさせながら引き抜くこともできるというメリットがあります。
釘は細くても強度があります。また釘はハンマーを使い上から打ち込むだけなので簡単にできます。ハンマーは安価な物も多く販売されているので誰でも打ち込みやすいといえるでしょう。
ネジと釘のメリットとデメリット
ネジと釘のメリット・デメリットを詳しく解説します。適材適所というように、それぞれの持ち味を生かし、使い分けていきましょう。
ネジのメリット
ネジは建築現場において木工事ではネジとは呼ばずビスと呼ばれます。ネジとビスの違いは先端が尖っているかどうかで、この記事ではネジ=ビスと前提しています。
通常のネジは先端は尖っていないため、木材に回転させて締め込もうとしても木に刺さりません。下穴をあけてあれば別ですが、毎回、木に下穴をあけてからネジを締め込むのは、思っている以上に重労働です。そのためビスが考案されたのです。
また、ビスは一般的には小さな雄ネジである小ネジを言います。通常1~8mm程度の比較的小さな径の雄ネジで、頭にマイナスの溝または十字穴があり、ドライバーで締め付けることができるものをいいます。
木ビスやコースレッド、ドリルビスなど、雌ねじを必要としなくても、直接、対象物に打ち込めるねじをビスと呼ぶことが一般的です。
①引き抜きが簡単
ネジ(ビス)は打ち込む時も引き抜く時も電動ドライバーを使います。そのためネジを打ち間違えても、電動ドライバーを逆回転させれば簡単に引き抜くことができます。
ネジ山(溝)があることで、引っ張る力に対し釘よりも強度は高いのです。
②作業の音が比較的静か
釘を打ち込む音に比較すると、電動ドリルドライバーでネジを打ち込む音は静かです。長いネジを効率良く打ち込む場合には電動ドリルドライバーの使用は必至です。特有のカンカンという連続音はするものの、釘をハンマーで打ち込む音よりは静かです。
作業音が静かということは耳に対しても負担が少なくなります。連続作業をしていると、耳にも負担がかかることは非常によくあることです。
③部材に傷がつきにくい
引き抜くのが簡単なので、部材に傷もつきにくくなります。電動ドリルドライバーを使うと、簡単に早く、しっかりと固定できるのでネジそのものも、部材も長持ちします。
ネジのデメリット
次に、ネジのデメリットについて取り上げていきます。
①工具を使わなければいけない
ネジを締め込む際には電動ドリルドライバーなどを使用するため、新たに購入するとなると、数千円~数万円かかります。今後も使用する予定があるならば購入したほうが良いでしょう。しかし一回だけであれば、ホームセンターの工具レンタルを利用しましょう。
また電動ドリルドライバーは趣味で使用する分にはとても便利ですが、使う場所によってはパワーが優れるインパクトドライバーのほうが良いでしょう。インパクトドライバーはビス打ちだけではなく、小さなビスを打つときにもこなすことができます。
②折れやすい
ネジは側面からの力に弱いため、折れやすい形状をしています。ネジも釘も細さは同じですが、ネジはネジ山となる溝は太い溝、細い溝が交互になる作りになっています。そのため、細い部分が側面から荷重を受けると、ボキっと折れてしまうことがあります。
③錆びて頭部が取れると苦労する
ネジを引き抜こうとインパクトドライバーで逆回しをした途端、ネジ頭が引きちぎれてしまうということは、意外にもよくあります。特に庭や屋外にある古い小屋のウッドデッキなど雨ざらしの構築物はネジも錆び付きやすくなります。
ネジ頭が取れてしまうと、ネジの残った部分が木材に埋まってしまうため、釘を抜くよりも苦労します。解体するにも非常に困難になります。
屋外の構築物などにネジを使用する際には、必ずステンレス製のネジを選ぶようにしましょう。
釘のメリット
古くから使われている釘が、現在でも使い続けられている理由としてメリットが大きいからです。釘のメリットについて解説します。
①初心者でも手軽に使える
ネジを締め付ける時には電動ドリルドライバーやインパクトドライバーが必要になります。釘の場合には、ハンマーがあれば打ち付けることがあるので、ネジに比べて費用がかかりません。
②種類によって頭部の小さいものがあり、目立ちにくい
ネジはネジ頭が十字穴など溝が必要です。そのため小さなサイズを選んでも、大きさはそれなりにあり、ダボ埋めなどをしない限りネジ頭が目立ち、見栄えが悪いことがあります。釘は真鍮釘、ケーシング釘、フロア釘、隠し釘など、頭が目立たないタイプの釘もあります。
また、普通の鉄釘でも、使用前に頭部を叩き潰して打ち込むという方法もあり、頭部を目立たなくさせることもできます。
③横方向に強いため建築物に向いている
釘は横方向の力に強いため、地震大国の日本の建築物に向いています。地震は横方向に揺れることが多く、外壁は釘を使われていることが多いです。
釘のデメリット
現在でも、家などの建築に使われていることが多いものの、デメリットもあります。釘のデメリットについて解説します。
①引き抜きが大変
釘は軸が直線的で凸凹が全くありません。そのため、真っすぐ上に引き抜く力には非常に弱いです。木材との摩擦があるので、人が少し引っ張ったくらいで抜けることはありません。しかし、ネジに比べると弱いのは否めません。
釘を打った直後はしっかりと打たれているものの、長い年月を経ると木材の収縮や腐食、衝撃や荷重によって何度もゆすられていると、密着性は悪くなり抜けやすくなります。
引き抜きに弱いという欠点をカバーする打ち付け方法として、垂直に打ち込まず、何本か打ち補強する方法があります。交互に角度を変え斜めに打っていくと、木材同士を引き剥がす力への抵抗力がアップします。
②釘打ちの音がうるさい
木材に釘を打ち込むときには、ハンマーで叩きながら打ち込んでいくため、ネジを打つ時よりもうるさくなります。マンション内や夜の作業には不向きでしょう。
③打ち損じ、解体時に引き抜くときに材料にキズがつきやすい
釘を引き抜く際にバールで抜くには力が必要です。また、最後まで打ち込まれている釘を引き抜く際には、バールを材料に食い込ませる必要があるため、材料に傷がついてしまいます。
将来、解体して材料は再利用することを前提にしているならば、ネジを使ったほうがよいでしょう。
ネジと釘の使い分けのポイント
ネジも釘も、メリット・デメリットはそれぞれです。そのため使い分けることが必要です。
釘が相応しい場所で長い板を固定する時や、釘をいきなり打つのが作業的に難しい、衝撃でズレてしまうという場合には、先にコーススレッドなどの小ねじを打ち、位置を安定させます。その状態で本格的に釘で打ち込んでいく、というやり方も良いでしょう。
ネジはここで使う!釘はここじゃないとダメ!というわけではなく、臨機応変に、それぞれが持っている力を発揮できるような使い分けをしていくことがポイントです。
まとめ
ネジと釘の使い分けや違いは、適している使い方やそれぞれのメリット・デメリットについて解説しま
した。
- 釘とネジの大きな違いは打ち込む際に使う道具の違い
- ネジのメリットは、引き抜きが簡単で作業音が静か、部材に傷がつきにくい。
- ネジのデメリットは、工具使用必至、折れやすく錆びると抜くのが大変。
- 釘のメリットは、初心者でも簡単に作業でき、目立たないものもある。建築物向きである。
- 釘のデメリットは、引き抜くときが大変、作業音がうるさい、引き抜くときに部材に傷がつきやすい。
- どちらも一長一短なので、それぞれの特性を生かした使い方が必要
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