2019年12月27日公開
2020年06月08日更新
ナットの種類と形状まとめ!18種類一覧で解説
ナットの種類は多いため、選ぶ際は迷う事があります。ナットの中では六角ナットがスタンダートですが、他にも色々な種類があります。自動車のホイールを盗難から守るロックナットは有名です。また、弛みを抑制するナットもあります。本記事ではナットの種類と形状を解説します。

ナットとはどのような部品か
ナットはボルトをはじめネジ、ビスなどと組み合わせて使う締結部品の一種です。ボルトなどと締結するために筒状の穴の内側には雌ネジが切ってあります。六角ナットはJIS規格などに定められたスペックがあります。
ナット18種類の形状と特徴まとめ
ナットは用途に違いがあるため、色々な種類があります。ナット18種類の形状と特徴をまとめました。
六角ナット
ナットといえば、六角ナットを示すことが多いです。六角ナットは六角形の形状をしているため、スパナやモンキーレンチ、ラチェットレンチで弛めたり、締めたりできます。六角ナットの素材には、鉄や真鍮、ステンレス、アルミニウムが使われています。ナットは多くの工業製品や建築物などに使われているため無くてはならない部品です。
六角ナットはJIS規格で定められています。六角ナットには1種、3種、厚ナットといった種類があります。
- 1種:ネジの厚さがサイズの約80%に定められ、主に片方に面取りが施されている
- 3種:ネジの厚さがサイズの約60%に定められ、主に両方に面取りが施されている
- 厚ナット:ネジの厚さがサイズの約100%に定められ、主に両方に面取りが施されている
六角袋ナット
六角袋ナットは本体の片面が袋状になっているため、ねじ穴が貫通していない特徴があります。取り付けた際に雄ネジが六角袋ナットから露出しないため、見栄えが良かったり、危険性が低かったりします。六角袋ナットの素材には、鉄や真鍮、ステンレスが使われています。
六角袋ナットの種類には1形、2形、3形があります。
- 3形:主に2種の六角ナットにキャップ(球状)を溶接する。素材は鉄やステンレスが多い。
- 1形・2形:袋ナット形に成型した後にネジを立てる一体型となっている。高強度でキャップが分離する不具合がない。
高ナット
高ナットは一般的な六角ナットと比較して、全長が長い特徴があります。高ナットの中には雌ネジの部分が貫通していないものもあります。真鍮やステンレスを素材に使った高ナットが多いです。全長以外は基本的に通常の六角ナットと同じ寸法を採用しているため同一の工具で弛めたり、締めたりできます。
高ナットには、両端に2本の雄ネジを装着して長さを調整する使い方があります。例えば、自動販売機の足に高ナットを使うことがあります。一方、部材からプリント基板などを浮かせる役割がある高ナットもあります。
蝶ナット
蝶ナットの特徴は半円形や角形の翼端があることです。翼端を指で摘まんで回すことができるため、締めたり、弛めたりすることが簡単です。強固に締結する部品には蝶ナットを使わないほうがよいです。鉄や真鍮、ステンレスを素材に使った蝶ナットがあります。
蝶ナットの種類には、1種以外に、2種、3種、4種があります。
- 1種:半円形の翼端がある。
- 2種:角形の翼端がある。
- 3種:高形や低形といったねじ部の高さがある。
- 4種:くぼみが付いた翼部を付ける必要がない。
溝付ナット
溝付ナットは六角ナットにみぞが付いた形状をしています。使い方は、貫通穴(ボルト)と溝(溝付ナット)を合わせるようにして溝付ナットを締め付けた後、割りピンを差し込み、脱落を防止します。
溝付ナットの種類には2種高型、1種高型、2種低型、1種低型があります。
- 2種高型:厚みがあり、溝が六角の部分の上にある。
- 1種高型:厚みがあり、六角の部分に溝が刻んである。
- 2種低型:薄く、溝が六角の部分の上にある。
- 1種低型:薄く、六角の部分に溝が刻んである。
フランジナット
ネジの締結力を大きくするためには座面に大きな摩擦力が必要です。接地面積が広い座面は固定する摩擦力が向上するため、弛みづらくなります。このようなことから、フランジナットは六角ナットの下の部分につば(フランジ)が付いています。フランジナットを使うことにより作業性や外観も向上します。
フランジナットにはフランジの裏側にセレートがあるものと、セレート無しのフラットなものがあります。セレートとは弛みを防止する凹凸となっています。
アイナット
アイナットは頭に円形の穴が開いたリングを付けた雌ネジです。穴が開いたリングにロープを通し、重量物を吊り上げたり、降ろしたりするために使用します。
JIS規格において重要保安部品になっているため、破損し大きな事故にならないように頑丈に作られています。細かい規定(材料、製造方法、引張試験方法)や、ネジの呼び、製造業者の略号を表示する義務があります。アイナットの素材はステンレスが使わています。
アイナットの種類は、頭部が可動するタイプと固定されたタイプがあります。頭部が可動するタイプは横吊りしたり、引き起こしたりする作業の場合に使います。
溶接ナット
溶接ナットは、薄い金属板に溶接するために使われます。薄い金属板に溶接ナットを溶接することで、安定性が向上し、部品の脱着も簡単になります。溶接ナットの素材に鉄が使われています。
溶接ナットには主に六角溶接ナット、四角溶接ナット、T型溶接ナットの3種類があります
【六角溶接ナット】
溶接が簡単なため優れた作業性を発揮する。パイロット(突起)を下穴に合わせた後、ナットの位置を決定してから溶接する。
【四角溶接ナット】
六角溶接ナットと比較すると作業性は悪いデメリットがある。一方、安定性は高く使いやすいメリットがある。
【T型溶接ナット】
フランジが付いているため、溶接する面積が広い。振動に対して強く、優れた安定性を発揮する。
ナイロンナット
ナイロンナットは片面が凸形のナットに、緩みに抵抗するナイロン製リングがはめ込まれています。ナイロンリングがボルトに食い込むことで摩擦力が向上します。ナイロンナットの裏と表に注意して装着するだけで、一般のナットと同様の脱着方法で使えます。緩み止めナットの中でもナイロンナットは低価格となっています。
ナイロンナットの種類には1種(高型)、2種(低型)、3種があります。
- 1種(高型):通常品
- 2種(低型):1種と比較して高さが低い。
- 3種:1種や2種と比較して高さが低い。
ノブナット
ノブナットとは、ノブが装着されたナットのことです。指で簡単に脱着することができるため、位置調整などが頻繁におこなわれる部分に多用されています。強化プラスチックに特殊加工したナットを挿入した後、成形したノブナットもあります。
四角ナット
四角形状の四角ナットは部材の溝に固定して使います。ボルトなどとセットで使用し、四角ナットは工具で保持しなくても締め付け作業が行えます。
ただ、ボルトの締め付け作業が適正に行われない場合は破損やゆるみが発生するため、注意しなければなりません。四角ナットの素材には鉄が使われることが多いです。
板ナット
様々な形状がある板ナットは部材の溝に固定して使います。四角ナットと同様にボルトなどとセットで使用し、板ナットは工具で保持しなくても締め付け作業が行えます。板ナットの素材には鉄が使われることが多いです。
板ナットの種類には菱型ナット タイプ、長方形ナット、薄型などがありボルトや小ねじと組み合わせて樹脂成形品などにセットします。
スプリングナット
スプリングナットはナットとスプリングワッシャー(ばね座金)を組み合わせています。スプリングワッシャーはワッシャーの一部を切断し、ひねりを加えたような形状です。スプリングナットはボルトに挿入して締め付けることより、バネの反動力を利用して緩みにくくします。
スプリングワッシャーは、ボルトなどが部材にめり込まないようにする役割もあります。また、機密性を高めたり、絶縁させたりする効果もあります。スプリングナットの素材には鉄が使われています。
インサートナット
インサートナットは形状の違いから、スタンダードとフランジのタイプあります。スタンダードタイプは片面タイプと両面タイプに分かれます。インサートナットは樹脂に埋め込むことで、素材同士の結合部を強化する役割があります。使用する際には、下穴を開けておく必要があります。
- スタンダードタイプ:片面タイプは取り付け方向が決まっている。両面タイプは取り付け方向が決まっていない。
- フランジタイプ:フランジ(ツバ)が付いているため取り付け方向が決まっている。
エンザート
エンザートは、メネジを立てるには強度が足りない母材を補強する役割があるインサートナットです。内側と外側にねじ山があるため、母材に固定して使用します。
エンザートの種類は、割り溝型と三つ穴型があります。
- 割り溝型:アルミや樹脂に使用することができる。
- 三つ穴型:アルミや樹脂以外にも鉄に使用することができる。
皿ばね付ナット
皿ばね付ナットはナットとドーム状のワッシャーが一体になっています。ボルトと組み合わせて締結することでドーム状のワッシャーが変形し反力が発生するため、弛みを抑制することができます。
締結する対象物に施したメッキやペイントの剥離を低減するため、ナットは独立して回転する構造になっています。皿ばね付ナットの素材には鉄が使われることが多いです。
爪付きTナット
爪付きTナットはネジと爪に加えフランジが一体化した形状です。木材や樹脂などねじ切りが難しい材質へねじを使うために使用します。使い方は、木材や樹脂に下穴を開けた後、爪付きTナットを打込むだけです。
カレイナット
カレイナットの首下にはナール・溝部があるため取付け強度が高いです。スチールやアルミ、ステンレス製の薄板に圧入して使います。溶接に不向きな板や下穴を開けた後にできるスパッタ(バリ)が残った板に使えます。
ねじ・ナットのことならツルタボルトがおすすめ!
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ツルタボルトでは燕三条で培った確かな技術と経験で、特殊オーダー品も低コストで迅速に対応する事が可能です。
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ねじ・ナットでお困りの際は、一度ツルタボルトへ相談してみると良いでしょう。
まとめ
ナットはボルトなどと組み合わせて使う締結部品。
①六角ナット:六角ナットは六角形の形状をしている。
- 1種:ネジの厚さがサイズの約80%(主に片方に面取り)
- 3種:ネジの厚さがサイズの約60%(主に両方に面取り)
- 厚ナット:ネジの厚さがサイズの約100%(主に両方に面取り)
②六角袋ナット:六角袋ナットは本体の片面が袋状になっている。
- 3形:主に2種の六角ナットにキャップ(球状)を溶接。
- 1形・2形:袋ナット形に成型した後にネジを立てる一体型。
③高ナット:六角ナットと比較して全長が長いため、長さを調整する使い方や部材からプリント基板などを浮かせる役割がある。
④蝶ナット:半円形や角形の翼端がある。
- 1種:半円形の翼端がある。
- 2種:角形の翼端がある。
- 3種:高形や低形といったねじ部の高さがある。
- 4種:くぼみが付いた翼部を付ける必要がない。
⑤溝付ナット:六角ナットにみぞが付いた形状をしている。
- 2種高型:厚みがあり、溝が六角の部分の上にある。
- 1種高型:厚みがあり、六角の部分に溝が刻んである。
- 2種低型:薄く、溝が六角の部分の上にある。
- 1種低型:薄く、六角の部分に溝が刻んである。
⑥フランジナット:六角ナットの下の部分につば(フランジ)の付いている。
- フランジの裏側にセレートがあるタイプ
- セレート無しのフラットなタイプ
⑦アイナット:頭に円形の穴が開いたリングが付いている。
- 頭部が可動するタイプ
- 頭部が固定されたタイプ
⑧溶接ナット:薄い金属板に溶接するために使う。
- 六角溶接ナット:優れた作業性を発揮する。
- 四角溶接ナット:安定性は高く使いやすい。
- T型溶接ナット:フランジが付いているため、溶接する面積が広い。
⑨ナイロンナット:片面が凸形のナットに、緩みに抵抗するナイロン製リングを装着。
- 1種(高型)は一般品。
- 2種(低型)1種と比較して高さが低い。
- 3種は、1種や2種と比較して高さが低い。
⑩ノブナット:ノブが装着されたナット。位置調整などが頻繁におこなわれる部分に多用される。
⑪四角ナット:四角形のナット。部材の溝に固定して使えるため、工具で保持しなくても締め付け作業ができる。
⑫板ナット:様々な形状があり部材の溝に固定して使う。
- 菱型ナット タイプ
- 長方形ナット
- 薄型
⑬スプリングナット:ナットとスプリングワッシャー(ばね座金)を組み合わせている。バネの反動力を利用するので弛みづらい。
⑭インサートナット:樹脂に埋め込むことで、素材同士の結合部を強化する。
- スタンダードタイプ:片面タイプは取り付け方向あり。両面タイプは取り付け方向なし。
- フランジのタイプ:フランジ(ツバ)が付いている(取り付け方向あり)
⑮エンザート:内側と外側にねじ山があり、強度が足りない母材を補強する。
- 割り溝型:アルミや樹脂に使用する。
- 三つ穴型:アルミや樹脂以外にも鉄に使用する。
⑯皿ばね付ナット:ナットとドーム状のワッシャーが一体した形状。
- 弛みの抑制、部材のメッキやペイントの剥離も低減できる。
⑰爪付きTナット:ネジと爪に加えフランジが一体化した形状。
- ねじ切りが難しい材質へねじを使うために使う。
⑱カレイナット:ネジの首下にはナール・溝部がある。
- 溶接に不向きな板やスパッタ(バリ)が残った板に使える。