2020年04月22日公開
2020年10月26日更新
テーパーピンの使い方は?規格や下穴【初心者向け】
テーパーピンは平行ピンの一種で、先端方向に向かって細くなっているピンです。テーパーピンは、各種ハンドルを軸に固定する場合に、ボスと軸の両穴に差し込んで使用します。今回はテーパーピンの規格や下穴の開け方、テーパーピンの使い方などを紹介します。

テーパーピンとは?
テーパーピンとは、機械工学で使用されるファスナーのことで、テーパー形のピンで各種ハンドルを軸に固定するときに、ボスと軸の両穴に差し込んで用いるものです。
テーパーピンは平行ピンと呼ばれるピンのひとつで、平行ピンはノックピンとも呼ばれています。ノックピンは、2つの部品を組み立てるときに、その位置関係を厳密に保つために、両部品を組み合わせて打ち込むピンのことをいいます。
自動車では、エンジンとトランスミッションの合わせ面は、特に位置決めの精度が厳しく、サービス上分解組み立ての発生する位置に設定し、使用されています。また、組み立て治具や検査治具において、部品の固定ボルトの緩みやメンテナンスで位置が変化しないようにノックピンを打ち込みます。
ノックピンには、ストレートタイプとテーパータイプがあり、ストレートタイプは文字通りピンが真っ直ぐな形をしています。
テーパー型とは、先端方向に向かって行くにつれて細くなっているピンのことを指し、テーパーピンはテーパー型になっているピンのことです。
テーパーピンは、一端が他よりもやや大きい直径を有する鉄棒です。標準的なインチサイズのテーパーピンは、直径が1:48のテーパーを備えていますが、メートル法のテーパーピンは1:50のテーパーを備えています。
また、一部のテーパーピンは、小さい端に雄ネジ山があり、穴から突き出ていて、ワッシャーとナットを保持するように設計されています。
他のピンは両端にねじがあり、太い端にはピンを固定している同じナットでピンを引き出します。テーパーピンリーマーは、テーパーピン用の穴を準備するために設計されていますが、メトリックテーパリーマは、小さい直径で指定されます。
たとえば、2mmのテーパーピンリーマには、1.9mmの小さい端と2.86mmの大きい端があります。
ピンの種類
ピンは、2つ以上の部材や部品の接合、部品の位置を決める、またはネジ等の周り止めなどの目的で使われるものです。ただ、回転するものに対してピンを使用する場合、回転によって抜け出ることがありますから、注意が必要です。
ピンには割りピン・スプリングピン・平行ピンといったものがあります。割りピンはナットの緩み防止と脱落防止に使用し、通常はボルトとナットで部材を固定しますが、ゆるんでしまうこともありますから、その問題を解消させます。
スプリングピンは、薄板に熱処理した円筒状に巻いたピンで、穴に取り付けたときにバネの作用によって穴の内側に密着し、高い保持力が生まれます。
スプリングピンは、ベルトコンベアーや負荷の小さい機械に使用されます。平行ピンは、2つ以上の部品を接続する際に、部材を固定している状態で一緒に穴をあけ、その穴に平行にピンを打ち込みます。精密加工や負荷の大きい機械に使用します。
テーパーピンの用途
テーパーピンは、軸をボスに固定する場合の位置を決めたり、継ぎ手などに使用されます。また、テーパーピンは振動や衝撃などによってゆるみが発生しやすいため、注意が必要です。
ノックピンには、ストレートピンとテーパーピンがありますが、どちらを使えばいいのか迷う場合があります。メーカーによっては、全てにテーパーピンを使うこともあり、その逆で全てにストレートピンを使う場合もあり、考え方や目的の違いもあるようです。
一般的に組み立てて、調整したあとに穴をあけるのがテーパーピンですが、ストレートピンは、部品加工中に同時に穴をあけます。テーパーピンだとピンが抜けにくいのと、分解したあとで再度組み立てた後の精度が高いことがメリットです。
一方、ストレートピンは組み立てた時に調整が必要ないというメリットがあります。
テーパーピンの規格
テーパーピンのJIS規格は、外観に関しては焼割れ、かえり及び使用上有害な傷、打こん錆などの欠陥がないこと。テーパ部の表面の粗さは、1級のものは3、2級のものは6.3Sとしています。
1988年にテーパーピンのJIS規格が改訂されていますが、旧規格も附属書の形で残されています。また、新旧の実用上の違いはほとんどありません。
主な変更点として、3種類の許容差が規定され、それぞれの許容差に対し異なった端面に形状が定められています。また、L寸の表示が面取りを含まない「肩-肩表示」から、端部を含む「全長表示」に変更されています。
テーパーピンの使い方
それでは、テーパーピンによる固定と位置決めのやり方を解説します。
①固定
まず、対象の部材をバイスに固定します。
②下穴を開ける
次にセンタドリル、ドリルの順に下穴を開けます。厚さがある場合は、下穴径が1本だとリーマ負荷が大きくなるため、3種類のドリルで段の下穴形状にしていきます。最初の下穴を開ける時は折れやすいので注意が必要です。
穴径と深さの関係は、ピン保持部の長さが径の長さの2倍程度を理想とし、最小は径と同じ長さ、最大では径の3倍程度になります。穴の深さがピン径より浅いと位置決めの精度が悪くなり、逆に深さが径の3倍以上になると精度のある穴加工が困難になります。
ハンドリーマで油をたっぷりとかけながら注意してテーパ形状にしていきます。
③圧入
ピンを入れて、頭の出っ張りが1~2ミリ程度になるまで、テーパを広げていきますが、最後にハンマーで叩いて圧入して完成させます。
ピンの確認
ピンが正しく作用しているかを確認するためには以下のチェックポイントが重要になります。
① 打ち込んだピンが脱落していないか。
② 打ち込んだピンが曲がったり、破損したりしてないか
③ 固定した位置のズレが生じていないか。
④ 回転するボスの場合、ボスが空回りしていないか。
ピンの抜き取り
テーパーピンは、保守、点検、修理といった際に取り外しが可能です。ピンを抜き取る場合、ノックアアウターやピンポンチを使って抜き取るのが一般的です。
ノックアウターによるピンの引き抜き方は、ホルダーキャップにキャップスクリューボルトを挿入し、シャフトにホルダーキャップをねじ込みます。ノックピンの内ネジにボルトの先端をねじ込んで、ハンマーで衝撃をあたえてノックピンを引き抜きます。
ピンポンチによるピンの外し方は、部材を固定してピンポンチをピンに当ててハンマーで叩いて抜きます。
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まとめ
今回は、平行ピンのひとつであるテーパーピンとはどんなものなのか、その用途や規格、実際の使用方法などについて紹介しました。
- テーパーピンは平行ピンの一種で、先端方向に向かって細くなっているピンです。
- ピンには割りピン・スプリングピン・平行ピンといったものがあります。
- テーパーピンの用途は、軸をボスに固定する場合の位置を決めたり、継ぎ手などに使用されます。
- テーパーピンは、保守、点検、修理といった際に取り外しが可能です。