タップを切るとは?ネジ山を切る(立てる)方法を解説!

タップを切るといった作業は、ネジを部材に固定する際に必要な場合があります。ただ、タップを切るという作業は慣れないと難しいです。本記事ではタップという工具の種類以外に、ネジ山を切る意味や方法やコツ、どんなシーンで行われるかなどを詳細に解説します。

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目次

  1. 1タップを切るとは?
  2. 2タップの種類とは
  3. 3ネジ山を切る(立てる)方法と手順
  4. 4タップを切るときのコツ
  5. 5ねじのことならツルタボルトがおすすめ!
  6. 6まとめ

タップを切るとは?

タップを切るとは、タップという工具を使って下穴の内側にネジ山を立てることです。英語ではTapと表記されるタップは、主に高速度工具鋼を使っている工具でとても硬いです。ネジ山とはネジの外周や下穴の内側に刻まれた螺旋状の溝のことです。

具体的にはタップの先を押し当てながら回すことで、下穴の内側にネジ山を削り出します。
 

なぜタップを切るのか

完成した工業製品を組み立てたり分解したりする際にはタップは既に切ってあり、ネジは取り付けられる状態になっています。そのため、再度タップを切るという作業はありません。ただクルマやバイクなどで、通常のパーツ以外のパーツを付けたり、ネジが折れたりした場合にタップを切ることがあります。

タップを切る必要のある場合は以下2点です。
 

取付箇所以外にパーツを付けたい

クルマやバイクをカスタムやレストアする際に、既存のパーツを取り付ける箇所以外にパーツを付ける場合にタップを切ることがあります。
 

  • クルマやバイクのカスタム:性能や外観を変えるために、既に取り付けられている部品を交換したり、新しく部品を取り付けたりすること。
 
  • クルマやバイクのレストア:古くなった部分を修理したり、補強したりして走行できるようにすること。

既存以外のパーツをクルマやバイクに取り付ける際に、取り付け穴のサイズが合わない場合があるためドリルで取り付け穴を大きくしてからタップを切ることがあります。


 

ネジが折れてしまった

タップを切るといった作業の多くは、ネジのトラブルに対応するために行います。ネジのトラブルの中にはネジが折れることがあります。多くのネジは弛めたり、締めたりする時に折れることがあり、ねじが折れる原因は次の通りです。
 

  • ネジが錆びついて弱くなっている
  • ネジ山を壊しながらネジが取り付けられている
  • ネジ山が錆びついてネジが固着している


ネジ山を壊しながらネジが取り付けられたり、ネジ山が錆びついていたりする場合は穴にあるネジ山が潰れてしまい正常に機能していないことが多いです。この場合は穴を大きくして、タップを切ってネジ山を復元することで、サイズを大きくしたネジが正常に取り付けられるようになります。
 

タップの種類とは

タップは次の3種類に分かれます。
 

  • 先タップ
  • 中タップ
  • 上げタップ

これらのタップは先端にあるテーパー(先細りした部分)などが違います。タップを切る際は、破損を防ぐため、先タップ、中タップ、上げタップという順番通りに使うことで、大きなサイズのネジでもスムーズに加工できます。
 

先タップ

先タップは1番タップともいわれ、テーパー部分(食い付き部)のネジ山数が7~10山あります。弱い力でネジ山が切れるように、歯は少なくなっています。

中タップ

中タップは2番タップともいわれ、テーパー部分(食い付き部)のネジ山数が3~5山あります。作業の中間工程で使う工具で、M6程度のボルトで高い精度を求めなければ、このタップだけを使う場合もあります。

上げタップ

上げタップは3番タップともいわれ、テーパー部分(食い付き部)のネジ山数が1~3山あり、作業の仕上げに使います。

ネジ山を切る(立てる)方法と手順

ネジ山を切る(立てる)方法は、ドリルなどを使って下穴を開けてから、タップを使って下穴の内側にネジ山を切ります。

部材にネジ山を切る(立てる)際は以下で紹介している工具などが必要になるため用意して下さい。メートルネジとインチネジがあるので、それぞれに合うタップを用意して下さい。メートルネジは各部のサイズがmm(ミリメートル)、インチネジは各部のサイズがinch(インチ)で表記しているネジです。
 

  • ボール盤もしくはハンドドリル
  • 機械油
  • 先タップ
  • 中タップ
  • 上げタップ
  • タップハンドル
  • 安全メガネ
  • スコヤ(垂直を確かめる道具ですが語源は垂直という意味)

タップを切る手順は4ステップ

M8ボルト以上のボルトを結合する穴にタップを切る手順は、以下4ステップです。一つずつ解説します。
 

  1. ネジサイズに合わせて穴をあける
  2. タップハンドルの準備と取り付け
  3. 真っ直ぐネジを噛ませる
  4. 注意してねじ込む

1.ネジサイズに合わせて穴をあける

下穴を開ける方法は次の通りです。ハンドドリルやボール盤を使う際は、手にけがをしないように注意して下さい。
 

  1. 下穴の径は下記、表を見てネジサイズに合わせて決定する
  2. 下穴を開ける際は、ハンドドリルもしくはボール盤を使用するが、大きな下穴についは、1回の作業で穴を開けるのではなく、最初は小さな穴を開けて、次に少し大きな穴を開けるといった繰り返しを2~3回行い、径を少しずつ大きくする
  3. 開けた下穴の入り口に、手で大きいドリルの先を押し当てて回すことで面取りする

ネジサイズ(呼び) ネジピッチ 下穴径
M3 0.5 φ2.5
M4 0.7 φ3.3
M5 0.8 φ4.2
M6 1.0 φ5.0
M8 1.25 φ6.8
M9 1.25 φ7.8
M10 1.5 φ8.5
M12 1.75 φ10.3
1/4-20 UNC 1.27 φ5.1

2.タップハンドルの準備と取り付け

タップハンドルの準備と取り付けは次のステップで行います。
 

  1. 先タップをタップハンドルの角穴に挿入して固定する
  2. 先タップの先端には機械油を塗る

3.真っ直ぐネジを噛ませる

真っすぐにネジを噛ませるためには先タップを部材に対して垂直に押し付けながら、タップハンドルを回します。下穴が部材に対して垂直になっていても斜めの状態でネジを切っていくと、取り付けるボルトは斜めになってしまい下穴を垂直にする意味がなくなります。
 

4.注意してねじ込む

先タップを垂直に噛ませた後、タップハンドルを回転させてねじ込んでいきます。回転の途中で重くなるため半回転させた後、1/4回転戻すといった作業を反復させて最後まで回し続けます。

先タップでネジ切りが完了した後、中タップ、上げタップという順に2~4のステップを行います。小さなサイズのボルトを結合させる下穴のネジを切る場合は、中タップのみで作業を完了させることもあります。
 

タップを切るときのコツ

タップを切る作業は慣れないとなかなか上手く仕上がりません。ここではタップを切る時のコツを紹介します。
 

  • 折らないようにする
  • 加工のときの深さのコツ
  • タップを噛ませるときのコツ

折らないようにする

タップを使う際は、付着している鉄くずの有無を確認します。鉄くずはブラシなどで落としてから使って下さい。タップハンドルが重くなった場合は、強引に回し続けるとタップが折れるため、ゆっくり回すのがコツです。また作業の途中に、機械油を追加してタップが回りやすくすることで折れることを防げます。

タップが折れた場合、穴から取り出すことは中々難しいため、注意しながらネジを立てて下さい。タップの価格帯は幅が広いため、強度的に不安がある安価なタップは選ばないようにしましょう。
 

加工のときの深さのコツ

歯の部分が20mm程度しかないタップが多いので、加工物が厚い場合は、逃がし穴を開けることで、ネジを切るのが楽になる上、ボルトの脱着が簡単になります。

段付きドリルなどを使って逃がし穴を開けることができます。
 

タップを噛ませるときのコツ

ボール盤を使って垂直にタップを噛ませる方法は次のステップで行います。
 

  1. ボール盤にタップを装着する
  2. タップの先を下穴に挿入する
  3. チャックを手で回しながらネジを切る

一方ボール盤が無い場合は、スコヤを使って部材に対してタップが垂直になっているかを確かめながら、タップハンドルに装着たタップを使ってネジを切ります。
 

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まとめ

【タップを切るとは?】
タップという工具を使って下穴の内側にネジ山を切ること

【なぜタップを切るのか】
クルマやバイクなどに、取付箇所以外にパーツを付けたり、ネジが折れてしまったりする場合にタップを切ることがある

【タップの種類とは】

  1. 先タップ
  2. 中タップ
  3. 上げタップ

【ネジ山を切る(立てる)方法と手順】
  1. ネジサイズに合わせて穴をあける
  2. タップハンドルの準備と取り付け
  3. 真っ直ぐネジを噛ませる
  4. 注意してねじ込む

【タップを切るときのコツ】
  1. タップハンドルは強引に回さず、ゆっくり回す
  2. 厚い加工物の場合は段付きドリルなどを使って逃がし穴を開ける
  3. ボール盤やスコヤを使って垂直にタップを噛ませる

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