ウェーブワッシャーの使い方や規格!ワッシャーの向きや役割も解説

ウェーブワッシャーは、その名の通り波のような形をしたワッシャーです。応力が掛かると波状になった部分が荷重を受け止め、ばねのように柔軟に荷重を受け止めることができます。今回はこのウェーブワッシャーの用途や規格について詳しく解説していきます。

ウェーブワッシャーの使い方や規格!ワッシャーの向きや役割も解説のイメージ

目次

  1. 1ウェーブワッシャーとは?
  2. 2ウェーブワッシャーの使い方
  3. 3まとめ

ウェーブワッシャーとは?

ウェーブワッシャー1

ウェーブワッシャーは波ワッシャーや波座金とも呼ばれ、板厚が0.15ミリから0.45ミリ程度の極薄板の鉄製平座金やステンレス製平座金に、波のようになめらかな凹凸加工を加えた座金のことです。

外径が平座金と変わらないものが多く、座繰り穴で使用する際や近くに干渉する部品等がある場所での設計ミスのリスクを軽減することができます。また自由高さと呼ばれる応力を掛けない状態での全体の厚みも平座金とさほど変わらないことから、ボルト長さの選定に大きな影響を与えません。

主なメーカーとしては株式会社特発三協製作所や大陽ステンレススプリング株式会社、磐田電工株式会社や株式会社オチアイなどがあります。

ウェーブワッシャー(波ワッシャー)の特徴

ウェーブワッシャーは波のような形状の平座金で、ばねの役割と座金の役割を同時に満たすことができます。板厚が0.15ミリから0.45ミリと大変薄く、軸方向の荷重を面全体で吸収します。

丸い板ばねのような形状のため、主にネジの緩み止めや部材間のスペーサー、ばねによる緩衝材としてやガタツキ防止の効果、騒音低減などに使われています。またばね座金のように鋼材が途切れていないため、母材を傷つけるリスクが軽減されます。

ウェーブワッシャーの用途

ウェーブワッシャーの用途は、主に軽い荷重が掛かりガタツキを防止したい精密機械のボルト用座金や、ベアリングを使用する軸の与圧などになります。例えばノートパソコンや携帯電話、テレビや MDプレーヤー、DVDレコーダーといったデジタル家電やチャック装置、マシニングセンター、平面研磨機のような産業機械などです。

オーダーメイドも可能なため、狂いが許されない応力計算や寸法が求められるデジタル一眼レフカメラや顕微鏡といった光学機器や半導体製造装置、半導体検査装置などにも使われています。またバイクの部品としても使われていて、パーツとして最適なサイズや応力を持ったウェーブワッシャーがメーカー純正品として販売されています。

ウェーブワッシャーの規格

ウェーブワッシャーは、大きくボルト用とベアリング用に分かれています。JIS規格に規格はありませんが、代わる規格として自動車技術会 JASO F302 自動車規格 波形ばね座金に詳細な規定があります。またオーダーメイドに対応したり試作品や小ロットに対応するメーカーもあります。

ここでは一般的に入手可能な規格を解説します。
 

  • ボルト用
鉄製:M4~M60
ステンレス製:M4~M20
 
  • ベアリング用
鉄製、ベアリング外径:φ13~φ140

ステンレス製のベアリング用ウェーブワッシャーは現在、規格品としては販売されていません。

ウェーブワッシャーの使い方

ウェーブワッシャー2

ウェーブワッシャーはばねと座金の両方の特性を持っていて、主に軸やボルトの緩衝材として使用されます。通常の平座金と同様に母材とボルトの間に入れたり、部品と部品の間に入れたりといった使い方をします。

ここではその使い方について解説していきます。

ウェーブワッシャーの利用例

ウェーブワッシャーの主な利用例としては、以下の通りです。
 

  • 部品組立時の調整代
主に精密機械や産業機器を組み立てる際、微調整のための隙間が必要な場合やガタツキを抑えたい場合などに使用します。
 
  • ベアリングの与圧部品
一本の回転軸にベアリングを複数使用する際、ウェーブワッシャーを使い予め圧力を掛けることにより騒音や振動を抑えたり、軸の振れ精度を向上させたりします。背面組合せ(DB)と正面組合せ(DF)のどちらにも使用します。
 
  • スピーカー端子の締付け緩み防止
スピーカー端子が緩むと、音が鳴らなくなったり飛んでしまったりします。ウェーブワッシャーは薄板で均一に力が掛かり、ばね座金と比べて電気接触が良いので緩み防止に使われています。

ウェーブワッシャー使用上の注意

ウェーブワッシャーは板厚が大変薄く、受けられる荷重が限られているため設計時に耐荷重を確認する必要があります。応力が集中したりサビが発生したりすると折損の原因となります。

常に高い応力が掛かる場所に使用すると、ばね性能が低下し自由高さが低くなる原因となります。最悪の場合折損の原因にもなるため、常時は自由高さが保証される応力で使用することが望ましいです。

理論計算式が確立されている山数は3山からとなっているため、2山で製作したい場合は試作して強度を試験してといった手順を踏む必要があります。

また薄くて波打っているという形状からパーツケースの中でくっついてしまい、気付かず複数枚一緒に組み付けて狙った効果が出せないということもあります。まとめて保管する際は、使用時に確認する必要があります。

まとめ

ウェーブワッシャー3

ウェーブワッシャーはばねの性質を併せ持つ形状から、様々な用途で使われています。規格化もされていますが、期待した効果を得るためには必要な応力や使用環境に耐えられるかを確認しなければなりません。そこに注意すれば、より良い製品を作るための手助けとなってくれることでしょう。

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