アンカーボルトとは?種類・用途・規格・選定方法について解説

アンカーボルトとは、構造用部材や設備機器などをコンクリートに固定するために使われるネジで、多くの種類があり、地震による機器の揺れや倒壊などを防ぐ目的で使用されます。今回はアンカーボルトの種類や用途、アンカーボルトの規格や選択方法についても解説していきます。

アンカーボルトとは?種類・用途・規格・選定方法について解説のイメージ

目次

  1. 1アンカーボルトとは?
  2. 2構造部材とは
  3. 3アンカーボルトの種類とは?
  4. 4アンカーボルトの規格とは?
  5. 5アンカーボルトの選定方法とは?
  6. 6ねじやアンカーボルトでお困りの際はツルタボルトがおすすめ!
  7. 7まとめ

アンカーボルトとは?

アンカーボルトとは、構造部材や設備機器などをコンクリートに固定するために、コンクリートに埋め込んで使用されるボルトのことです。アンカーボルトをコンクリート内に埋め込むことで、コンクリートと構造部材や設備機器をしっかりと固定し、構造部材や設備機器が分離・浮遊・移動・転倒することを防ぎます。

ネジの構造方法には転造法と切削法の2種類がありますが、転造法は塑性変形によってネジ山を作る方法で、切削は手動や自動で雌ネジを形成する方法です。また、切削法よりも転造法の方が強度は高いとされています。

 

構造部材とは

構造部材とは、建築物を安全に使用するために必要な部材のことをいいます。建築物は華やかで奇抜な形状のものであっても、構造部材がなければ成立しません。

たとえば、構造部材には柱がありますが、柱は人や家具などさまざまな重さを支えていて、地震などによる揺れに対して、倒れないように抵抗する部材です。
 

構造部材の目的

構造部材は、普段の生活で問題なく使用(床が傾いたり、抜けたりしないこと)でき、災害時には人名を守る役目をします。

構造部材の種類

構造部材の種類は以下の5つに分けられますが、それぞれを説明していきます。
・柱
・大梁
・小梁
・床
・基礎
 

柱と梁(はり)は、建築物になくてはならない部材です。どんな建築物にも柱と梁はあります。部屋の中から柱や梁を確認できることもありますが、基本的には天井や内部の壁などで隠れて見えません。柱は、鉛直方向に建つ構造部材です。

大梁

梁は柱とともに、建築物になくてはならない部材です。柱と同じで基本的には天井や内部の壁などで隠れて見えません。梁は水平方向にかかる構造部材です。

梁には、さまざまな種類がありますが、大梁は、構造部材の種類のひとつです。構造部材による種類の梁には、他に小梁、地中梁、壁梁があります。

大梁は、柱と接合される主要な梁で、地震力に抵抗する梁を大梁と呼んでいます。
 

小梁

小梁は構造部材の種類の中のひとつです。小梁は、大梁と接合される梁で、固定荷重や積載荷重を負担する梁で、地震力には抵抗できません。

鉄筋コンクリート造の床や屋根のことをスラブといいますが、日本語でいうと平板という意味です。スラブは鉄筋コンクリートの床の形状を表しています。

平面の大きさに対して、厚みが小さい部材を「平板」といいます。また、鉄筋コンクリートの床は、鉄骨造や木造と比べると凹凸がなく、平べったい板であるためスラブといいます。つまり、鉄筋コンクリート造の床のことをスラブといいます。
 

基礎

基礎とは、建築物の重さを支える部材のことです。基礎があるために、私達は安心して生活をすることができますし、もし基礎が沈下したり地震によって傾いたりすれば、いくら建物が健全であっても意味がありません。

構造部材と非構造部材の違い

構造部材と非構造部材の違いですが、構造部材は、通常時は災害時で建物の安全性や、人命確保を目的とする部材のことです。一方、非構造部材は、構造部材の目的とは違う構造部材で、外壁のタイルや床のフローリングなどです。

非構造部材は、人や物の重さを支えることができません。たとえば、外壁のタイルは、建物の見栄えを良くするものであり、地震力に抵抗するものではありません。床のフローリングにしても、室内の環境を良くするものであって、人の重さを支えてはいません。
 

アンカーボルトの用途

アンカーボルトは、木造建築物、鉄骨造建築物、鉄筋コンクリートの柱や梁などの建設現場で使用されることが多く、それぞれ種類によって使い方が異なります。アンカーボルトは、それぞれの特徴を理解して商品を選ぶことで、スムーズに作業を進めることができます。

アンカーボルトを使う方法

アンカーボルトは、簡単な作業によってしっかりと固定できるため、設備機器の転倒防止や地震対策などに効果的に利用することができます。ここでは、アンカーボルトの種類ごとに、その使い方や特徴を紹介していきます。

 

アンカーボルトの種類

アンカーボルトには、大きく分けて以下の4つの種類に分けられますが、それぞれについて解説します。

・埋設アンカー(通常品)
・打ち込みアンカー
・ケミカルアンカー(接着系アンカー)
・締め付けアンカー
 

埋設アンカー

埋設アンカーは、基本的なアンカーボルトで、コンクリートを流す前に指定された位置に固定するアンカーボルトです。埋設アンカーはかなり強固に固定される方法ですが、その反面、定位置にセットするための技術が必要になってきます。

ワイヤーなどを使ってアンカーボルトを取付けるのですが、より正確な位置に取り付けたい場合は、鉄筋に固定するだけでは完全ではないことも少なくありません。取付ける時の方法として、型枠に開けた穴にアンカーボルトを固定したり、位置出し材を使用する工法などがあります。

複数のアンカーボルトを正確に配置したい場合、あらかじめ一定の間隔で穴をあけた鋼材にボルトを差し込んで、鋼材とボルトを溶接する工法もあります。アンカーボルトの埋め込みの部分の深さ、理想的な突出部の長さを充分考慮し、コンクリートを流し込んで固定させます。
 

打ち込みアンカー

打ち込みアンカーは、一般的なものとは違い、すでに凝固の終わっているコンクリートや壁へ施工するためのアンカーボルトです。

使用方法としては、母材に穴をあけ、アンカーボルトを挿入し、穴とアンカーボルトの隙間を埋めて固着させ、設備機器や構造物に取り付けるために使用されます。

また、具体的な使い方は、まずコンクリートに対してハンマードリルなどを使って下穴を開けますが、その時適当な径と深さにする必要があります。切り粉などを排除し、そこに打ち込みアンカーをしっかりと差し入れます。芯や外周部など特定の箇所をハンマーで叩くことで、打ち込みアンカーの下部が広がっていき、穴の内部に食い込んで固定するような仕組みになっています。

打ち込みアンカーには、芯棒打ち込み式の雄ネジタイプと、本体打ち込み式の雌ネジタイプの製品などがありますが、いずれのタイプも特定の部位に衝撃を加えることで拡張部が拡張し、そのことでコンクリートの穴に固定されるという特徴があります。この打ち込みアンカーは誰が施工しても安全で、熟練した技術もあまり必要としないため、広く用いられている方法です。
 

ケミカルアンカー(接着系アンカー)

ケミカルアンカーは、カプセル型の容器に接着剤が封入されていて、その接着剤の化学反応を利用して、アンカーボルトと土台を接着することで固定するアンカーボルトです。接着系の化学反応を利用するため、接着系アンカーともいわれています。

具体的な取付方法としては、打ち込みアンカーや締付けアンカーとほとんど同じです。まずコンクリートに開けた穴の粉塵をよく取り除き、ケミカルアンカーを差し込みます。そこに全ネジや、異形鋼棒などを打ち込んで接着剤を包んだ容器を割ることによって科学反応を起こし、コンクリートとボルトを接着して固定させます。
 

締め付けアンカー

締め付けアンカーは、仕組みは打ち込みアンカーとほぼ同じで、ネジの締め付けを利用してコンクリートに固定する方法です。

具体的な施工の仕方としては、まずコンクリートに穴を開けますが、その時適切な径や深さに調節する必要があります。穴を開けた後、粉塵を充分に取り除いて、そこにアンカーボルトを差し込みます。

ナットを規定のトルク値まで締め付けることで、内部のスリーブ部分が拡張し、コンクリートの内壁にしっかりと固定させることができます。

 

アンカーボルトの種類とは?

アンカーボルトは色々な種類があって、実際に使用する時にはどの種類のものを選んで良いのか迷ってしまう人もいるかもしれません。そのためにも、購入する前に各種類の特徴や用途を知っておく必要があります。

ここでは、アンカーボルトの種類を紹介し、どのような用途にそのアンカーボルトが適しているのかなどを説明していきます。

 

① 内ネジアンカー

一般的なアンカーボルトであり、コンクリートの表面に凹凸がない状態で、六角ボルトや吊りボルトなどを施工するときに使います。素材にはステンレス製のものなどがあり、素材によって特徴が違いますので、その辺の注意も必要です。

②芯棒打ち込み式アンカー

芯棒打ち込み式アンカーは、取り付け対象物の上から直接施工することができます。ルーティアンカー、オールアンカー、Cタイプアンカーなどの種類があります。

③ケミカルアンカー(接着系アンカー)

ケミカルアンカーは、容器の中に接着剤が入っていて、その接着剤が化学反応を起こすことで、コンクリートなどの土台に接着し、固定することができるものです。

コンクリートに穴を開け、そこにケミカルアンカーを差し込むことによってボルトを固着させます。
 

④ボードアンカー

石膏ボードや中空構造壁などに部品を取り付ける時に使用し、一定の重さに耐えることができますが、その反面取り外しができないといったデメリットもあります。

スチール製で耐火性に優れているものや、壁を痛めずに設置できるものなど、種類は豊富にあります。
 

⑤溶接用アンカー

対象物を溶接して固定するもので、サッシ、シャッター枠といったものに取り付けるのが一般的ですが、コンクリートに対して施工できるものもあります。ナットで締め付けることはせず、一般的にはヘッド部分を溶接して固定します。

サイズは小さく、比較的簡単に扱えるというメリットがあります。
 

⑥グリップアンカー

グリップアンカーとは、コンクリートに埋め込むためのアンカーで、軽天工事やダクト吊り用金具の取り付けなどで主に使用されます。スチール製のものもあれば、ステンレス製のものもあり、中には表面に溶融亜鉛メッキを施したタイプのものもあります。

また、ケーブルラックの設置、コンクリート型枠工事、防火設備取り付け、配線・配管吊金具の取り付けなどにも使われます。
 

⑦ALC用アンカー

ALC用アンカーは、ALC(軽量気泡コンクリート)板を金具などに取り付けるためのアンカーで、強度に分けて使用できるため、さまざまな目的で使用することができます。また、耐衝撃性、耐熱性などにも優れているものもあります

⑧締め付けアンカー

締め付けアンカーは、一般的なネジの締め付けの要領で、コンクリートに固定するアンカーボルトです。使用する場合は、充分な穴の深さが必要です。

⑨高機能アンカー

高機能アンカーは、ボルトを回すだけで施工できるという便利で高機能なアンカーです。電動工具でも施工できるため、作業の短縮にも効果的です。また、下穴へ異物が混入しないようなタイプのものもあり、完成後の仕上がりもきれいにできます。

⑩中空壁用アンカー

中空壁用アンカーの種類には、以下の2種類がありますが、それぞれについて解説します。

・アメラハンガー
・ITハンガー
 

アメラハンガー

ITハンガーよりもプレートが短いタイプのハンガーで、中空壁に取り付けたりする場合に向いています。

ITハンガー

ITハンガーは、保持力を保ったまま、貫通施工することが可能で、取り付け物をセットしたまま作業することができるため、周囲を傷つける心配がありません。

アンカーボルトの規格とは?

アンカーボルトは、ABR400、ABR490とABM400、ABM490という大きく2種類の規格にわけることができます。

ABRとABMの違いは、ABRの場合、軸部の断面積とネジ部の断面積があまりかわらないように転造して製作したアンカーボルトで、軸部に対するネジ部の断面欠損率が92%程度のものです。

次にAMBですが、ネジ部は軸部と切削して製作したアンカーボルトで、ABRよりも断面欠損率が大きく、軸部に対するネジ部の断面積は85%です。どちらが有利かは難しいのですが、一般的にはABRアンカーボルトを用いることが多いようです。また、官公庁の施設でも一般的にABRを使用しています。

アンカーボルトのサイズについては、「ネジの呼び径」「ネジのピッチ」「軸部の径」「ネジの長さ」といったサイズがある、それぞれのサイズにあわせたアンカーボルトを選択する必要があります。

 

アンカーボルトの選定方法とは?

まず耐荷重はどのくらい必要なのか、取り付ける場合のネジの太さはどれくらいか、それによってアンカープラグを選び、そのアンカープラグに適したコンクリート用ドリルビットを選択します。

アンカーボルトの材質を確認する

アンカーボルトは、他の工具と同じようにそれぞれの商品で材質が違っています。鉄、ナイロン、ステンレス、鋼材などの材質があり、それぞれに重さや耐久性などが違います。

また、強度に優れた材質で作られたSNRなどのアンカーボルトもありますので、そうしたことを考慮した選別をする必要があります。

 

サイズを確認する

アンカーボルトにはさまざまなサイズがあって、ネジの呼び径(mmやinch)、全長(mm)を確認します。また、用途に合わせて選ぶことで、性能を発揮できます。

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ねじでお困りの際は、一度ツルタボルトへ相談してみると良いでしょう。

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まとめ

アンカーボルトとは、構造部材や設備機器などをコンクリートに固定するために、コンクリートに埋め込んで使用されるボルトのことです。その種類には大きく分けて4つありますが、それぞれの施工方法について、またアンカーボルトの用途や選択方法などについて紹介しました。

【構造部材の種類】
・柱
・大梁
・小梁
・床
・基礎

【アンカーボルトの種類】
・埋設アンカー(通常品)
・打ち込みアンカー
・ケミカルアンカー(接着系アンカー)
・締め付けアンカー



 

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