2019年11月29日公開
2020年06月08日更新
ねじの長さはどれだけある?決め方についても解説
ねじは用途によって様々な種類を使用し工作や建築物を作っていきます。今回はねじの長さ、太さについて理解し皿ネジ、全ねじ、半ねじなどを中心に基準となるねじの長さを解説します。また、ねじの長さと呼び名と使用箇所に応じたねじの長さの決め方についても詳しく解説します。

ねじの長さ
1.ねじの長さが表す部分
ねじの長さが表す部分を理解するには「長さ」と「太さ」を正しく理解する必要性があります。以下に「長さ」と「太さ」の理解に対して解説します。
ねじの長さ
ねじ長さは「ねじ込み深さ」+「キリ穴側の長さ」で表すことができ、「締結対象内に埋め込まれる部分の長さ」 を表記され、基本的には首下の長さを指します。しかし、「締結対象内に埋め込まれる部分の長さ」 のため、頭のない寸切りや皿ボルトのねじは、頭部すべて締結対象物の中に埋まるため、全長となります。
ねじの長さの単位は、「インチねじ」になると、単位が変わりますが、それ以外はmm(ミリ)の単位で表されています。ねじというのはさまざまな場面で使用され、工事などで広く使用されますが、ねじの適切な長さが決まっています。
ねじの適切な長さは締結する板の厚さの2倍以上、3倍以内が目安となっています。これ以上短いねじになってしまうと圧力がかかったときに外れてしまうことがあるので気をつける必要性があります。
ねじの太さ
ねじの太さはねじ部の太さの事を表します。インチねじになると、単位や表記が変わりますが、それ以外の時の単位はcm(センチ)ではなくmm(ミリ)で表されます。
ねじの世界では「ねじの太さ」を表す表現方法として、mm(ミリ)ではなく、頭に大文字のMをつけることで太さを表します。 このことから「5mm」 の場合は、「M5」と表記されます。
2.皿ねじの長さについて
皿ねじとはネジの頭の上面が平らで、座面部分が円錐状になっている形状のねじのことをいいます。皿ねじの長さは頭の部分からの長さとなります。そのため、頭の下からネジの先端までの長さを比較すると、同じ長さ20mmでも皿ねじの方がねじの部分の長さが短くなります。
皿ねじはねじの頭部を凸出させたくない時に使用し、締め付け部にはテーパー面をつけるザグリ加工をすることが必要となります。材質も鉄以外にステンレスや、黄銅など各種販売されており日本工業規格(JIS)で寸法が決められているため基本的には規格部品から選んで使用します。
以下に皿ねじの代表的なねじとして皿小ねじの代表的なサイズを解説します。(単位はmmとなっています。)
ねじの呼び | M2 | M2.5 | M3 | M4 | M5 | M6 | M8 |
頭部の径 | 4 | 5 | 6 | 8 | 10 | 12 | 16 |
頭部の高さ | 1.6 | 2 | 2.45 | 3.2 | 4 | 4.8 | 6.2 |
呼びの長さ | 5~20 | 6~30 | 6~40 | 8~50 | 10~50 | 12~60 | 14~60 |
ドライバーのサイズ | 1 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 |
3.全ねじと半ねじについて
「全ねじ」と「半ねじ」はコーススレッドの中に分類されているねじとなり、概要は以下の通りです。
- 全ねじ:頭部から下が全てネジ部になっているねじ。
- 半ねじ:頭部から下でネジ部になっていない部分があるねじ。
コーススレッドとは木材を固定するねじのことを指し、ビスや木ネジとも呼ばれています。コーススレッドはホームセンターならどこでも売っており、住宅や家具など木材を固定したり組み合わせるのに使用され、素材と長さの組み合わせでさまざまな種類があります。
コーススレッドは釘よりも固定する強度が強いため、しっかり固定することができます。また、以下に「全ねじ」と「半ねじ」の代表的なサイズを記載しますのでご確認ください。
(単位は㎜)
【全ねじの基本的な長さ】
ねじの呼び | M3 | M4 | M5 | M6 | M7 | M8 |
ピッチ | 0.5 | 0.7 | 0.8 | 1.0 | 1.0 | 1.25 |
二面幅(基準寸法) | 5.5 | 7 | 8 | 10 | 12 | 13 |
頭部の高さ(基準寸法) | 2.0 | 2.8 | 3.5 | 4.0 | 5.5 | 5.5 |
【半ねじの基本的な長さ】
ねじの呼び | M6 | M7 | M8 | M10 | M12 | M14 |
ピッチ | 1.0 | 1.0 | 1.25 | 1.5 | 1.75 | 2.0 |
二面幅 | 4 | 5 | 5.5 | 7 | 8 | 9 |
頭部の高さ | 10 | 11 | 13 | 17 | 19 | 22 |
対角距離 | 11.5 | 12.7 | 15 | 19.6 | 21.9 | 25.4 |
4.ねじサイズの公差について
公差とは許容誤差範囲の最大寸法と最小寸法の差のことを指します。どれだけ技術がある技術者がねじを作っても実際に作ろうとする測定値と真実の値との間には一定の誤差が生まれてしまいます。
そのため重要なことは、測定値と真実の値との間の許容される誤差の範囲でねじを作ることが重要になります。以下に代表例として「小ねじL寸許容差」の公差について記載します。
以下の許容範囲が公差となっています。
【小ねじL寸許容差】(単位はmm)
M2.5以下 | M2.5を超えM4.5以下 | M4.5を超えるもの | |
4以下 | 0~0.3 | - | |
4を超え10以下 | 0~0.4 | 0~0.6 | 0~0.8 |
10を超え20以下 | 0~0.6 | 0~0.6 | 0~1 |
20を超え40以下 | 0~0.8 | 0~0.8 | 0~1 |
40を超えるもの | - | 0~1 | 0~1 |
ねじの長さと呼び名
ねじの長さと呼び名を分けると材質、めっき、頭部の種類等、呼び径、長さなどで表すのが一般的となっています。以下にそれぞれの内容について記載します。
項目 | 呼び名 |
材質 | 鉄、真鍮、ステンレス、銅、アルミ、樹脂 など |
めっき | 鉄にはクロメート、クローム、ニッケル、ドブ 、真鍮にはニッケル、 クローム、銀など |
頭部 | なべ、皿、丸皿、トラス、バインド、六角、六角穴付きなど |
ねじ | 小ねじ、タッピング |
規格 | Mはメートル並目、細目をあらわします |
呼び径 | ミリ(mm)で示します |
区切り | 特に決まりはありませんが - 、 x 、* をよく利用します |
長さ | ミリで示します(基本的には5ミリ間隔になっており、長いものは10 ミリ間隔) |
使用箇所に応じたねじの長さの決め方
使用箇所に応じたねじの長さの決め方として重要ことは以下の2点になります。
- タップねじ込み深さ
- キリ穴側のねじ長さ
1.タップねじ込み深さとは
タッピンねじとはめねじ加工が施されていない相手材の穴にねじ自身のねじ山でめねじ山をねじ込み締結できるねじのことをいいます。ねじは締めたときに発生する軸力で「物同士を押さえ付ける」のが目的となっているため、その物の大きさや、掛かる負荷に対してネジのサイズを決めることが大切となっています。
物同士を押さえつけるためにはねじに軸力を発生させて締結しますが、タップへのねじ込み深さがしっかりしていないと、その軸力を発生させることができないため、しっかり締結することが大切です。ねじ込み深さは基本的に1.5D以上2D以下くらいの間で収まるようにしています。
2.キリ穴側のねじ長さ
キリ穴側のねじ長さは、タップ側のねじ込み深さを1.5D~2D以内に収める前提で市販されているネジ長さ、キリ穴部材の必要厚さと見比べながら決めるようにします。
キリ穴側が設計上、厚い場合は以下のように3種類のとめ方があります。
- そのままとめるようにする
- 座グリにする
- 座グリを深くしてネジを短くする
キリ穴側が設計上厚い場合はのとめ方は上記のように3種類ありますが、主に「座グリを深くしてネジを短くする」手段をとることが多くなっています。
※キリや座グリは詳しく解説するとそれ単体で記事一つかけそうなボリュームですが簡単説明を付け加えます。
- キリ:図面などの指示で使用する言葉でドリルで穴をあけるその深さを表すもの
- 座グリ:ねじを入れる穴を少し下げる加工の事です。そのままだとねじが抜けやすくなりますが、一段下げると抜けにくくなります。
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ねじでお困りの際は、一度ツルタボルトへ相談してみると良いでしょう。
まとめ
本記事ではねじの長さ、太さその決め方について解説しました。日曜大工などでねじやビスを使用する事が多くありますが、その長さや太さ・規格まで注意をして考える事は少ないと思います。以下本記事で解説した内容をリストで記載していますので参考にしてください。
【ねじの長さ、太さ】
- ねじ込みの深さ+キリ穴の長さで表す
- ねじの太さはミリで表し「5mm」は「M5」と表記する
【全ねじと半ねじについて】
- 全ねじ:頭部から下が全てネジ部になっているねじ。
- 半ねじ:頭部から下でネジ部になっていない部分があるねじ。
【ねじサイズの公差】
- 公差とは許容誤差範囲の最大寸法と最小寸法の差のこと