ねじの主な材質・表面処理ごとの特徴をご紹介!

ボルトやナットは自動車、家電、パソコンなど様々な工業製品に使われています。それぞれの工業製品の要求スペックに合わせて、材質や表面処理が行われています。ねじの選び方を考える上で材質や表面処理は重要です。ここではねじの材質や表面処理について紹介します。

ねじの主な材質・表面処理ごとの特徴をご紹介!のイメージ

目次

  1. 1ねじの材質・表面処理とは
  2. 2ねじの材質と特徴・使用環境
  3. 3ねじの表面処理と特徴・用途・処理例
  4. 4目的にあったねじの材質・表面加工の相談先
  5. 5ねじのことならツルタボルトがおすすめ!
  6. 6まとめ

ねじの材質・表面処理とは

ねじの材質・表面処理とは

こちらではねじには材質の違いと表面処理の違いについて解説します。

ねじの材質による違い

ねじの材質によって、強度、軽さ、耐腐食性、加工し易さなどの特性が違います。この特性の違いにより鉄、ステンレス、アルミニウム、チタン、真鍮、樹脂といった材質の中からネジ生地を選びます。材質の違いについてはこの後詳しく解説します。
 

ねじの表面処理による違い

ねじの表面処理は種類が多く見分け方は難しいですが、処理方法の違いから電気メッキ・無電解メッキ・溶融メッキ・化成処理や塗装・コーティングがあります。表面処理の違いによって見た目や耐腐食性などが異なります。

ねじの材質と特徴・使用環境

ねじの材質と特徴・使用環境

ネジ生地に使われている鉄、ステンレス、アルミニウム、チタン、樹脂の特徴や使用環境を紹介します。

1.鉄

鉄の特徴や使用環境を紹介します。

特徴

鉄は比較的安価で加工が簡単な特徴があり、一般的に2%以下の炭素が含まれています。炭素が0.03~1.7%含まれているものを純鉄や鋼、1.7%以上含まれているものを銑鉄(せんてつ)などと呼ばれています。炭素量が増す事で硬くなり、優れた耐磨耗性を発揮する一方で割れやすい・さび付きやすくなるなどのマイナス要素もあります。それと逆で炭素の量が減る事で鉄が柔らかくなったり、粘り強くなるなど状態の変化が見られます。

鉄の強さや硬さ・性質は、金属元素を加えたり熱処理を施したりする事で、自由自在にコントロールできます。例えば炭素鋼は、主に炭素のみを合金元素としています。一方、炭素鋼にマンガンをはじめ、珪素、ニッケル、クロムなど加えたものを合金鋼といわれています。

【鉄の種類】

  • 一般構造用鋼(SS材)
  • 機械構造用炭素鋼(SC材)
  • マンガン鋼(SMn材)
  • クロム鋼 (SCr材)
  • ニッケルクロム鋼(SNC材)
  • クロムモリブデン鋼(SCM材)
  • ニッケルクロムモリブデン鋼 (SNCM材)

使用環境

合金鋼と炭素鋼は特殊鋼といわれています。特殊鋼を使ったボルトやナットは特殊な強さが必要な場合に使われています。例えば、特殊鋼はベアリング(軸受け)のレースやボールといった特殊な強さが必要な環境で使われる部品で使われます。

その他の鉄は地球上で沢山あり成形もしやすく強いため、ある程度強度や大量生産が必要な自動車や建築物の部材に使われます。ただ錆びやすい鉄は、そのままでは水がかかる場所や雨に濡れる屋外に使うことは適していません。

2.ステンレス

ステンレスの特徴や使用環境を紹介します。

特徴

ステンレスとは汚れを意味するステインと無いことを意味するレスを合わせた造語で、12%以上のクロムを含有させる事で、錆びづらい材質となっています。ただ、主成分は鉄である事から、絶対に腐蝕しない訳ではありません。

ステンレスが、錆びづらい理由は酸化クロムの膜が表面を覆っているためです。鉄は12%以上のクロムを含有させる事により、鉄が腐蝕する前にクロムが酸化するため、酸化クロムの膜が表面に形成されます。

無色かつ透明な酸化クロムの膜は薄く目では見えませんが、化学的に安定しているため強いです。酸素を遮断する事ができるため、酸化鉄の発生を防止できます。酸化クロム膜はステンレスを加工したり、切断したりしても、クロムが12%以上含有しているため、酸素と結合することができ再生が可能です。

【ステンレスの種類】

  • SUS304などオーステナイト系
  • SUS329J1などオーステナイト・フェライト系
  • SUS 430などフェライト系
  • SUS410などマルテンサイト系

※オーステナイト系:温度(911~1392℃)で安定な鉄の同素体γ鉄や固溶体
※フェライト系:酸化鉄が主な成分でコバルトなどを混合焼結した磁性体
※マルテンサイト系:高温の鋼を速い速度で冷やした際、拡散しない組織

使用環境

ステンレスは錆びづらいため、水がかかる環境で使われることが多いです。建設物であれば屋根材やカーテンウォールなどの外装部材、家電であれば洗濯機の部材など幅広く使われています。ただ、ステンレスのねじは焼付きという症状が発生することがあるため、潤滑油を入れる必要があります。

3.アルミニウム

アルミニウムの特徴や使用環境を紹介します。

特徴

アルミニウムが軽量であることはよく知られています。比重はアルミニウムが2.7、鉄は7.8となるため、約1/3です。酸化皮膜に覆われているため、優れた耐食性を発揮しますが、強度の弱さからねじなどにはあまり使われていませんでした。

しかし、昨今リサイクルの重要性の高まりを受けて 、アルミ製の製品はアルミ製のビスで行い、リサイクルする際は分別することなく溶かすことができるため、低コスト化を実現しています。アルミタッピング製品の中には、高い強度がある材質を使ったり、熱処理を施したりすることで、表面の硬度を高めたものが登場しています。

アルミニウムには以下の種類があります。
 

  • 純アルミニウムといわれる1000番系
  • ジュラルミンといわれる2000番系(Al-Cu系合金)
  • マンガン(Mn)を含んだ3000番系(Al-Mn系合金)
  • シリコン(Si)が含んだ4000番系(AL-Si系合金)
  • 耐食性と強度を向上させた5000番系(AL-Mg系合金)
  • シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)を含んだ6000番系(AL-Mg-Si系合金)
  • 亜鉛(Zn)とマグネシウム(Mg)を含んだ7000番系(AL-Zn-Mg系合金)

使用環境

アルミは全般的に軽い素材なので、軽さが必要な環境で使われる部品に向いています。例えば航空機やスポーツ用品などの部材に使われることが多いです。

4.チタン

チタンの特徴や使用環境を紹介します。

特徴

チタンは酸などで溶解せず化学的に安定しているため人体に影響が少ない上、軽量かつ高い強度を誇る材質です。チタンは航空機の部品に使用されていることが多く、高価な素材として知られています。高い耐熱性を誇り、融点は1668℃となっています。

チタンは純チタンとチタン合金に分かれています。チタン合金には、耐食合金、α合金、Near α合金、α-β合金、Near α合金、β合金があります。

【チタンの種類】

  • 純チタン
  • チタン合金
    -耐食合金
    -α合金
    -Near α合金
    -α-β合金
    -Near α合金
    -β合金

使用環境

チタンは酸に対して強く、海水中でも優れた耐食性を発揮します。そのため海水で腐食しやすい環境で使われる部材に向いています。例えば、海洋関連部品や海洋建造物に使われることが多いです。

5.樹脂

樹脂の特徴や使用環境を紹介します。

特徴

樹脂製は種類によって特性も異なります。樹脂には熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂があります。熱可塑性樹脂の可塑性とは、固体に力を加えて変形させた後、力を加えなくなっても復元しない性質のことで、加熱によって可塑性になることを熱可塑性といいます。このようなことから、熱可塑性樹脂は温度を変化することにより、液状や固体の状態に変化します。

熱可塑性樹脂にはポリエチレンの他、ポリプロピレン、ポリアミド、ABSなどがあります。一方、熱硬化性樹脂は架橋結合で強固に結合されているため。分子の熱運動が制限されています。このため、一度成形された熱硬化性樹脂は再度加熱しても硬化して液状になりません。熱硬化性樹脂にはフェノール系樹脂やエポキシ系樹脂などがあります。
 

使用環境

錆びずに薬品に対しても強い樹脂製のネジがありますので、防錆や耐薬品性が求められる環境に使う事ができます。たとえば海岸近くの工場、薬品工場の機械などです。

6.真鍮

真鍮の特徴や使用環境を紹介します。

特徴

真鍮は銅以外に20%以上の亜鉛が含まれている材質です。真鍮は優れた導電性や耐食性を発揮する材質です。

【真鍮の種類】

  • 丹銅(レッドブラス)
  • 七三黄銅(セパ)
  • 65/35黄銅(セパ)
  • コーペル
  • 真鍮コロ
  • 高力黄銅
  • ネーバル黄銅
  • 黄銅鋳物コロ
  • 鍍金黄銅(鍍金真鍮)
  • 真鍮ワイヤーカット線

使用環境

真鍮は端子止め(電機部品)などに使用されることがあります。真鍮は表面処理を施すことで、内部端子などに使用することも可能になります。

7.マグネシウム

マグネシウムの特徴や使用環境を紹介します。

特徴

マグネシウムは地球上に豊富にあり、リサイクル性にも富んでいるため、地球の環境にやさしい金属といわれています。マグネシウムの比重は1.74で軽い上、高強度です。マグネシウムは合金にすることで 優れた軽量性、耐食性、耐熱性を発揮するようになります。

マグネシウムはアルミと比較して軽いため航空機の部材などにも使われる一方で、耐食性で劣っていたり、不純物が残ってしまったりするため、水分によって酸化が進むことがあります。またマグネシウムは振動を熱に変化させることができ、オーディオの音質を向上させたり弛み止めに使用させたりすることがあります。

使用環境

マグネシウムは軽く錆びづらいため、軽さを求められる環境や水がかかる場所、雨に濡れる屋外に使うことに適しています。例えば軽さが求められる自動車やバイクのホイールに使われることがあります。

 

ねじの表面処理と特徴・用途・処理例

ねじの表面処理と特徴・用途・処理例

ねじの表面処理や特徴、用途、処理例を紹介します。

1.電気メッキ

電気メッキの特徴や用途、処理例を紹介します。

特徴

電気メッキは電界溶液中に入れたボルトや六角ナットなどを通電(陰極)し、メッキが表面に覆われるようになります。

用途

電気メッキは装飾以外に、防錆、機能など様々な特性を持たせることができます。機能とは部材の表面を硬化させたり、潤滑させたりすることです。

処理例

メッキの種類 処理例
銅メッキ 銅メッキは、下地処理(ニッケルメッキなど)に使われることが多いです。
ニッケルメッキ 適度の硬さや高い耐食性があるニッケルメッキは装飾や紡織以外に工
業用に使われることが多いです。
黒色ニッケルメッキ 黒色ニッケルメッキは装飾用として黄銅メッキなどの上に使うことがあります。
クロムメッキ 硬く光沢が得られるクロムメッキは、優れた耐摩耗性、耐食性、耐熱
性、密着性を発揮するので、工業用に使われます。
黒色クロムメッキ 漆黒調の膜が得られる黒色クロムメッキは、太陽光選択吸収パネル、放熱板などに使われています。
工業用硬質クロムメッキ 工業用硬質クロムメッキは、優れた機械的特性を発揮し、メッキ層も
厚いため、シリンダーのシャフトなどに使われています。
亜鉛メッキ 亜鉛メッキは、鉄のさび止めに使われています。亜鉛メッキ後のクロ
メート処理を施すことで、耐食性や美しさが加わるようになります。
金メッキ 金メッキは金の輝きを利用した装飾用で使われたり、電子半導体部品
に使われたりします。
銀メッキ 銀メッキは電気接点や装身具、食器などに使われています。

2.無電解メッキ

無電解メッキの特徴や用途、処理例を紹介します。

特徴

無電解メッキの大きな特徴は電気を使用しないことです。プラスチックやセラミックなど不導体素材でもメッキ液に浸すことで、均一な金属皮膜が得られます。

用途

自動車のブレーキ部品やプリント基板、電子部品に無電解メッキが使用されています。

処理例

メッキの種類 処理例
置換メッキ 硫酸銅浴液と鉄の組み合わせが多く、硫酸銅液の中に鉄板を浸す事で、
銅皮膜が得られます。
銀鏡反応 銀鏡反応は、糖類やホルムアルデヒドを加えた銀-アンモニア溶液の中に
ガラスを浸すとことで発生する反応です。

3.溶融メッキ

溶融メッキの特徴や用途、処理例を紹介します。

特徴

溶融メッキは効果に対してコストパーフォーマンスに優れたメッキとして知られています。厚いメッキ層が発生し、高い防錆力が発揮されます。

用途

溶融メッキは屋外金物やボルトに使われることが多いです。

処理例

溶融メッキでは、部材を溶かした錫やアルミ等を中に入れて付着させます。

4.化成処理

化成処理の特徴や用途、処理例を紹介します。

特徴

化成処理では、金属を特殊な溶液の中に浸すことで、表面に金属塩被膜を発生させます。

用途

放熱板をはじめ、装置部品、自動車部品などに使われています。

処理例

化成処理  処理例
クロメート処理 クロメート処理は紅、白、緑、黒といった色があります。紅や
黄色はクロメート、白色をユニクロメートと呼ばれています。
6価クロム化合物を使うクロメート処理は、人体や環境への影響
を考慮して、国内外で規制されています。ユニクロ(光沢クロメー
ト)は、亜鉛メッキ後に、クロメート処理します。
黒染    黒染は濃厚カセイソーダ、反応促進剤、染料を使った水溶液を加熱
した後に、部材を浸して四三酸化鉄被膜を発生させます。

5.塗装・コーティング

塗装・コーティングの特徴や用途、処理例を紹介します。

特徴

塗装やコーティングは、部材を塗料やコーティング剤で覆うことで、大気中の酸素と触れないにようにして、酸化による錆を防ぎます。

用途

自動車本体や部品、建設物などに使用します。

処理例

塗装 処理例
吹付塗装 スプレーガンなどを使い、霧状にした塗料を空気と一緒に吹きつけます。
静電塗装 静電塗装では、正極に帯電させた部材と、負極に帯電させた噴霧状の塗料を、
電気的に吸着させます。
浸漬塗り 浸漬塗りは塗料中に部材を浸して引き上げる方法です。

目的にあったねじの材質・表面加工の相談先

目的にあったねじの材質・表面加工の相談先

ねじの材質や表面加工の選び方は難しいので、ねじを加工していたり、販売していたりする業者に相談することをおすすめします。現在は、ねじの業者の多く、ホームページを持っています。ホームページには電話番号やメールアドレスが掲載しているので、まずは連絡してみましょう。
 

紹介 ツルタボルト株式会社は、ネジ製品全般を扱う企業として誕生し、時代のニーズに合ったネジ製品を提供しています。同社は豊富な情報や知識を武器に総合的に顧客をサポートすることが可能です。
住所 〒955-0082 新潟県三条市西裏館2丁目10-25
TEL (代)0256-32-5031
URL https://www.bolt-nut.co.jp/index.php

ねじのことならツルタボルトがおすすめ!

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ツルタボルトでは燕三条で培った確かな技術と経験で、特殊オーダー品も低コストで迅速に対応する事が可能です

また、ボルト・ねじ類から機械・工具まで常時30,000点の在庫数で最適な製品を提案してくれます。今後はボルト・ナットを超えて、締結用品全般・締結を補助する工具などの情報・知識の提供などを顧客に提供していきます。

ねじメーカーでの就業を検討の際は、一度ツルタボルトへ相談してみると良いでしょう。

ツルタボルト株式会社/ねじの事なら何でもお気軽にお問い合わせください。

まとめ

まとめ

・ねじの材質による違い
強度
軽さ
耐腐食性
加工し易さ

・ねじの表面処理による違い
電気メッキ
無電解メッキ
溶融メッキ
化成処理
塗装・コーティング

・ねじの材質と特徴・使用環境
 

  • 鉄は安価で加工が容易
  • ステンレス錆びづらい特徴があり、水がかかる環境で使われる
  • アルミニウムが軽い特徴があり、軽さが必要な環境で使われる
  • チタンは優れた耐食性を発揮する特徴があり、海水で腐食しやすい環境で使われる
  • 樹脂は錆びずに薬品に対しても強い特徴がある
  • 真鍮は優れた導電性や耐食性を発揮する特徴がある
  • マグネシウムは軽く錆びづらいため軽さが求められたり、水がかかったりする環境に使われる

 

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