2019年12月26日公開
2020年06月08日更新
なぜねじは緩むのか?原因と対策をご紹介!
私たちの生活にはほとんどといってよいほどねじが使われており、ねじは物と物を結びつける大切な役割をしています。そのねじが緩みガタガタするなどねじの緩みはトラブルの発生を招きます。今回はなぜねじが緩むのか、その原因と緩ませないための対策をご紹介します。

なぜネジは緩むのか
ねじは物と物を結びつける機械部品ですが、気が付いたらネジが緩んでいることがあります。掃除機やパソコンなどのネジならば気づいた時点で締めればよいものの、車やバイクなどのネジが緩んでいると、ヒヤッとするのではないでしょうか。
ネジが緩むことで高まる危険性やネジが緩む原因についてみていきましょう。
ネジの緩みの危険性
ネジが緩むとそのネジが結びつけていたものによっては、大きな被害が発生することがあります。例えばバス、電車などでは乗客に被害が及ぶことがあり、車やバイクでは事故につながる危険性があります。また、工場では1本のネジが緩んだことから生産ラインが停止してしまい、莫大な損失が発生することがあります。ねじの緩みによって予期せぬ重大な危険が発生することは大いにあり得るのです。
ネジの緩みは2種類
ネジが緩む原因は大きく分けると2つになります。1つは非回転の緩みと、もう1つは回転の緩みです。
ネジを締め切ると部品と部品を締結することができます。一方で作用、反作用の法則からネジは伸びる方向に締結したものから力を受けます。この時、ネジと締結したものとの間には摩擦力が発生します。この摩擦力によってネジで部品が固定できるのです。
摩擦力は垂直抗力×摩擦係数でそれがトルク管理です。垂直抗力が減少してしまうようなことが起こるとネジが緩みやすくなるのです。
非回転の緩み
非回転のネジの緩みとは、ネジが回転していないにも関わらず緩む現象の事を指します。
回転の緩み
回転によるネジの緩みとは、文字とおりネジが回転してしまって緩んでしまう現象をいいます。
ネジの非回転の緩みとは
ネジが非回転で緩むということは、ネジが戻り回転しないのに張力低下するゆるみをいいます。ネジが非回転で緩む原因として考えられるのは主に以下の3つが考えられます。
- 初期緩み
- 陥没緩み
- 微動による摩耗や過大外力による塑性変形
非回転の緩みの原因
では、非回転でネジが緩む3つの原因についてみていきましょう。
初期緩み
ネジの頭部や被締結物同士が接する面には微細なデコボコが存在します。このデコボコはネジを締め付けた際に、わずかにへたるように変形します。この変形や振動などから摩耗し隙間ができることによって軸力が低下してしまい、ねじの緩みにつながっていきます。
初期緩みはネジを締め付けた初期で発生し、へたりがある程度治まるとそれ以上緩むことはありません。
陥没緩み
被締結物の強度がネジよりも低い場合には、ねじの頭部座面と締結したものとの接面が時間とともに変形(陥没)します。変形したことで、隙間ができると軸力が低下し、ネジが緩みます。
ネジを締め付けている際に陥没に気づけばよいものの、多くの場合にはネジを外してみなければ気が付きません。被締結物が樹脂やアルミ、厚さが薄い場合に起こりやすくなります。
微動による摩耗や過大外力による塑性変形
ネジを締め付けると、ネジと締結物が接触します。その接触部分がわずかでも動くと摩耗が生じます。摩耗が生じれば、そこに隙間ができ軸力の低下(垂直抗力)するため、ネジが緩みます。またネジの耐久力を超えるような荷重がかかると、ネジが伸び切る可能性があります。これは塑性変形といい、塑性変形すると垂直抗力が低下してしまうため、ネジが緩んでいきます。
非回転の緩みの対策と防止法
これらの非回転のネジの緩みを対策するには以下のような方法があります。
【初期ゆるみには】
初期緩みはネジを締結した初期になりやすいためネジを締め、ある程度時間が経過したら増し締めを行うと、ネジの軸力が回復します。
【陥没によるゆるみには】
陥没ゆるみの対策としては被締結物に接する面を広くし、座金やフランジ付きボルト・ナットを使用するとよいでしょう。
【変性したためのゆるみには】
緩み止めナットや、ネジ面を固着するための接着剤を使用するとよいでしょう。
ネジの回転の緩みとは
ネジの回転の緩みとは、振動や繰り返し荷重がかかることによって、ネジが回転しながら緩むことをいいます。
ネジと被締結物がなんらかの衝突によって反発したり、圧縮力の消失、低下などの原因から締め付けていたネジが緩む方向に回転すると、当然ながらネジは緩みます。
回転の緩みの原因
回転によってネジが緩む原因は「軸の往復回転の繰り返し」と「軸方向の荷重の増減によるもの」の主に2つです。
軸の往復回転繰り返しによる緩み
被締結部材同士が、軸に直角に往復滑りを繰り返すと、ネジに戻り回転が生じます。これによって緩みが生じます。
軸方向荷重の増減による緩み
締め付け部材同士をネジの軸線方向に引っ張る、緩めるなどをし軸力が増減すると、戻り回転する現象があるとされています。
回転の緩みの対策と防止法
回転の緩みに対する対策と防止法は以下4点です。
- Uナットを使う
- ハードロックナットを使う
- ノルトロックワッシャーを使う
- ロックタイトを使う
Uナットを使う
フリクションリングがネジ山に接するとばね作用によって応力が発生します。それに対して反力とともにネジ山を強く圧迫し自由回転を阻止する摩擦トルクが発生します。Uナットは鉄道、連絡橋などの鋼構造物や、車、バイク、産業機械など幅広く使用されており、金属製のフリクションリングがナット上面にかしめているので、耐熱、耐寒性にも優れており、繰り返し使用も可能で、軸力が低下しても早期の脱落を防ぎます。
ハードロックナットを使う
ハードロックナットは、締込量に比例して水平応力がナットと密着するまで増加し続けます。くさび作用によって完全にロックされる効果が期待できます。ハードロックナットは新幹線にも採用されている緩み止めナットで微調整が可能でトルク管理も容易かつ、再利用もできるためコスパもよいです。
ノルトロックワッシャーを使う
ノルトロックは軸力を利用し緩みを防止します。緩んでしまっては困る重要な部分に対し、安全かつ簡単で確実にボルト・ナットの締結をするために開発されたものです。振動や衝撃によるゆるみに耐え、簡単な取り付け、取り外しが可能です。
電力・輸送・海洋開発・鉱業・採石業・建設・橋梁・加工製造業・造船・農林業・重機・軍需等、あらゆる産業で使われています。
ロックタイトを使う
ロックタイトは空気を遮断すると、硬化する接着剤です。硬化するためには金属との接触が必要要素になるため、ねじの緩み対策には最適な接着剤です。ロックタイトが被着材の表面にある隙間に入り込み、くさびのような働きを行い固着されます。隙間が小さいほど硬化は早くなります。
ねじを緩ませないための適正な締め付けとは
ねじを緩ませないためには適正な締め付けを行うことは大前提です。締め付けのトラブルの原因では締め付けが不十分なためによる緩みが一番多いといわれています。ねじを緩ませないためにはどのような事柄に注意すべきか、以下5点について解説します。
1.締め付け力は大きいほど良いが、ねじや被締結物を損傷させないこと
締め付け不足や逆に締め付きすぎてしまってもねじ緩みは起こります。被締結物との接触面が損傷すると締め付ける力は時間とともに減少し、ゆるむ原因となります。ねじ、被締結物の材質、強度、潤滑などに応じた適正な締め付けが重要です。
2.締結部分は外部からの振動や衝撃が作用することが多い
振動が激しい箇所にネジを使用する際には充分な緩み止めを行いましょう。初期緩みなどがあるため定期点検をし、緩んでいる箇所があったら増し締めを必ず行いましょう。また疲労破壊に対しても対策を練っておくことも必要です。
3.緩みやすい環境は特に注意すること
温度の上下が激しい場所での締結や、膨張係数が異なる材質、被締結物がアルミニウム合金やプラスチック、締結物が塗装されている場合などは、ネジが緩みやすくなるため、特に注意が必要です。
4.ねじの表面処理・材質・精度・ピッチでも緩みやすくなる
ねじの表面処理や材質、精度、ピッチ、潤滑状態は、はめ合い硬さの加減や接触面のすべり具合で数値化することは難しく、確認しておくことが大切です。
5.適正な締め付け工具を使用すること
締め付け方法や使用工具によって、締め付け具合は大幅に異なります。不適正な工具はねじの破損や怪我、ネジが緩みやすくなり脱落の恐れがあります。
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ねじでお困りの際は、一度ツルタボルトへ相談してみると良いでしょう。
まとめ
ネジが緩んでしまう原因と対策方法についてご紹介しました。回転性によるネジの緩み、非回転性のネジの緩みが大きな緩みの原因です。
ネジが緩んでしまうことで起こるトラブルを避けるためにも、ネジの基本的知識として知っておくとよいですね。
また、ネジの再使用や錆びたネジの使用は避けましょう。一度使用したネジは品質や強度の保証ができないばかりか、ネジが緩む原因となります。